第5部 トリスタニアの休日
第2章 魅惑の妖精亭
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」
ジェシカはそんなウルキオラの腕を握った。
「なんだ?」
「……ってるの?」
声が籠っていて聞こえない。
「聞こえん」
「本当にそれだけのためにあんたを私の部屋に連れ込んだと思ってるの?」
ジェシカは顔を赤らめて言った。
「違うのか?」
ジェシカは答えない。
しかし、それが肯定だということは明確であった。
「ならば、何の用だ?生憎、俺はお前に用などないんだがな」
「冷たい人……お礼がしたいの」
ジェシカは着ていたワンピースの紐を緩めた。
「礼ならお前の父のオカマにしてもらった」
「ひどいわね。あれで優しいパパなのよ。お母さんが死んじゃったときに、じゃあパパがママの変りも務めてあげるって言い出して……」
「トレビアンか?」
ジェシカは頷いた。
「で、パパのことはいいの。ねえ、あなた女の子の体……知りたいと思わない?」
ジェシカはウルキオラを誘惑した。
自分でも、スタイルには自信があった。
だから、ウルキオラもなんだかんだ言って、誘いに乗ってくると思っていた。
まあ、それは大きな間違いなのだが……。
「興味がないな」
ウルキオラはそれだけ言い残し、扉を開けて去って行った。
「ま、待ってよ!」
ジェシカはすぐにその後を追う様に扉を開いた。
その先を見渡す。
しかし、ウルキオラの姿は既に見当たらなかった。
響転で移動したのである。
「何よ……せっかくお礼してあげようとしたのに……」
ジェシカは残念そうな顔を浮かべた。
「でも、人間とあまり付き合ったことがないって……どういうことだろう?」
ジェシカは一人になったその部屋で、ワンピースの紐を結びなおしながら呟いた。
「明日辺り聞いてみよう」
そう言って、ジェシカはベッドにダイブした。
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