第5部 トリスタニアの休日
第1章 情報収集任務
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ルイズはそれを取り上げた。
そこに押された花押に気付き、真顔に戻る。
「なんですか?そのフクロウ」
シエスタが覗き込む。
ルイズは真面目な顔になると、ウルキオラに立ち上がるように促した。
「なんだ?」
中を改め、いつ枚の紙にルイズは目を通した。
それからルイズは呟く。
「帰郷は中止よ」
ルイズがウルキオラに手紙を渡す。
ウルキオラもそれを読んだ。
手紙にはこう記されていた。
アルビオン艦隊が再建されるまで信仰を諦め、不正規な戦闘を仕掛けてくる。
マザリーニを筆頭に、大臣たちはそう予想したこと。
街中の暴動や反乱を扇動するような、卑怯なやり方でトリステインを中から攻められていること。
そのような敵の陰謀に怯えたアンリエッタたちは治安の維持を強化すること。
そして、ルイズとウルキオラに身分を隠しての情報収集任務を願うこと。
なにか不穏な活動が行われていないか。
平民たちの間では、どんな噂が流れているのか。
それを調べてくれとのことだった。
ウルキオラは一通りそれを読んだ後、ルイズに手紙を手渡した。
「面倒な事だ」
ルイズとウルキオラは、ルイズの自室へと入って行った。
ぴょこんとルイズはベッドに座ると、語り始めた。
「この前の事件のあと……、姫様が落ち込んでいたの、知ってるわよね?」
「ああ」
ウルキオラは頷いた。
死んだ自分の恋人が、敵の手によって蘇らされ、自分を攫おうとしたのだ。
落ち込むのも当然である。
「お可哀想に……、でも、いつまでも悲しみの淵には沈んでおられないようね」
ルイズは手紙をもう一度開いた。
「そのようだな」
ルイズは不満そうな顔をしていた。
「どうした?」
「だって……、地味じゃない。こんなの」
「情報は重要だ。情報を軽視すれば、戦争に勝ち目はない」
「そうなんだけどさ」
アンリエッタからの手紙には、トリスタニアで宿を見つけて下宿し、身分を隠して花売りなどを行い、平民たちの間に流れるありとあらゆる情報を集めるよう、指示してあった。
任務に必要とされる経費を払い戻すための手形も同封されていた。
「荷物もまとめ終わったし、さっさと出発するわよ」
そんなこんなで、二人はトリスタニアへと出発した。
身分を隠すために、馬車は使えない。
ウルキオラは、じりじりと太陽が照りつける中、荷物とルイズを抱え、ルイズが文句を言わない程度の速度で滑降した。
この調子だと、トリスタニアまで丸一日はかかるだろう。
「どんどん進みなさい!」
毎時約三十キロで進んでいくウルキオラの腕の中で
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