暁 〜小説投稿サイト〜
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Round《1》〜スタート・オブ・カタストロフィング〜
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シアムの壁にぶち当たり、吹き飛んでいくルーグ。

「せぁぁぁぁぁッ!!」

 壁を蹴り上げ、上空へと昇る。《連二刀流》上位ソードスキル、《フレアライド・ブースターハザード》。五十四連撃の光の嵐が、ルスティグを飲み込んで荒れ狂う。

 これで決まりだ――――

 そう、シャオンが確信した、その時。

 
 ビシリ。


 嫌な音が、走った。

「……!?」

 背筋に寒気が走る。ソードスキルを意図的にキャンセルし、敏捷値に物を言わせてその場を離れた。

 音の発生源は――――己の剣だ。

 《ソードユニゾン》を起こして、融合した剣に――――いつの間にか、亀裂が走っている。

「馬鹿な……!?」
「ふぅ……やっと、効いて来ましたね……!」

 土煙の中から、ルスティグが姿を現す。その身は――――驚くべきことに、無傷だった。そんな馬鹿な。シャオンの攻撃は、全てヒットしていたはずだ。薬を飲ませるような時間も、なかったはず――――

 そこでシャオンは、たった一つ、自分が見逃していた可能性に気が付いた。

 なぜ気付かなかったのか。

 ルスティグの《調合》スキルによって作られるアイテムは――――別に、『飲み薬』でも何でもないのだ。

 つまり、飲まなくても。飲ませなくても。

 降りかけるだけで、()()()()()()()――――

「今度はこっちの番です!」

 ルスティグが片手剣を引き抜く。ぬらぬらとその刀身が光っている。間違いなく《麻痺毒》が塗ってあるのだ。それもあの輝き。シャオンがSAO時代、一度も見たことがない色合いだ。リーサル毒よりもなお恐ろしい、最上位の麻痺毒……?

「シィッ!!」

 ルスティグが駆ける。シャオンほどではないにしても、彼もまた十分に速い。その場を避けようとして――――シャオンは、とっさに反対方向に飛んだ。

 直後、爆発。どこからともなく《手榴弾》が調合され、炸裂したのだ。

「なんてこった、薬以外までつくれんのかよ!」
「こういうお祭り騒ぎ限定ですけどね……!」

 麻痺毒のぬられた刀身が迫る。紙一重でそれを避けていくが、ルスティグはちょうどいいタイミングでダメージを与えるアイテムを調合して来る。正直言って邪魔だ。

 シャオンは防御力を完全にかなぐり捨てたステータスをしている。加えて、《SEED》の代償として最大HPを支払っている。今、シャオンは俗に言う『紙装甲』だ。ダメージを受けないようにするには、スピードが出しきれない……。

「そこっ!」
「くっ!?」

 一瞬の隙をついて、ルスティグが何かを投げ込んでくる。それは瓶だ。中に入っているのは、水色の液体――――


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