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ワールド・カタストロフ〜クロスクエスト〜
Round《1》〜スタート・オブ・カタストロフィング〜
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目を見開いていた。

 反応が、消えていない。ランが、まだ生き残っている。

 恐ろしいのはそれだけではない。彼女の反応の在りかだ。

 ランは、今――――

「はっはっは――――! 甘いよッ!」

 クロエの、足元の地下に潜っていた。

 ドォン! という音を立てて、地面から喜色満面のランが姿を現す。その手に持った槍は、信じられないスピードで突きこまれてくる。

 紙一重で避け、反撃の銃弾を撃ち込む。《処女銃》ソードスキル、《クライ・アストレア》。正義の女神の名を冠するその銃弾は、ワイヤーを引き連れていた。対象に打ち込まれたそれは、その者をバラバラに引き裂くだろう。

 だが、難なくその一撃はランに避けられる。もう理解が及ばない。人知を越した速さである。どういう構造をしているのか。というかどう考えたら地面の中に潜って避けようとか考えつくのか。

 そもそも――――どうして、自分のスキルと、その攻略法を知っているのか。

 分からないことだらけだ。きっと自分では理解が及ばない、そんな奇怪な存在なのだろう。

 だが。

『負けない』

 決して。

 銃をだらりとぶら下げる。体の力を抜いて、落ち着かせる。感覚を鋭敏化。思考の加速開始、《電子干渉》。

 そして――――

 上空から、信じられない速度で落下してくるランに向けて。

『《処女喪失(ロスト・ヴァージン)》』

 必殺の一撃をたたき込む。

 その銃撃は、驚くべきスピードで突き進み――――

「いったぁぁぁぁぁいっ!」

 ランを打ち抜き、涙目にさせて。

 そのHPを、一撃で0にした。

「うっへぇ……痛いよぉ……はじめてのいたみって奴?」
『……』
「ジョークも受け取ってくれないのね……」

 うえーん、と呟いて、強敵(ラン)は消滅した。

 単純に、ランが次に行うであろう行動を予測しただけだった。上空に飛び上がった彼女は、落下攻撃をしてくるだろう、と。

 上空では、地中や地上のように、自由に動き回ることができない。そんな状態の彼女になら、集中力の全てを費やしたクロエの銃弾は、確実に命中するだろう。

 こんなレベルの戦いを、あと何度繰り返すのだろう。

「難しすぎるな」
『それでも、勝つ』

 そう、心に決めて。

【second-battle:winner is Kuroe!!】
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