第四話
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タカタと身を震わせている小十郎が怒っているのか悲しんでいるのか、
顔が見えないように抱かれているので私には分からなかった。
でも、たった一つ分かるのは……その気持ちは秘めておくつもりだったってこと。
そりゃそうだ、この無駄なくらいに真面目な弟がそんな感情許せるはずがない。
「……政宗様、今日はもう自室にお戻り下さい」
静かに吐き出された言葉に政宗様は何も言わずに腰を上げた。
「……テメェが手篭めにすんのか」
「出来る筈がないでしょう……そんなことを」
鼻で笑って出て行こうとする政宗様を小十郎は黙って目で追っている。
静かに戸が開かれたところで、小十郎が信じられない言葉を発していた。
「……政宗様、御恨み致しますぞ」
それには何も答えず、政宗様はそのまま部屋を出て行ってしまった。
……いろんなことがあり過ぎて頭の中が整理出来てない。
いや、政宗様が私のことLOVEだってのは知ってたよ?
知ってたけど……まさか、実の弟にまで惚れられてただなんて誰が想像するだろうか。
やっぱりドロドロに甘やかしたのがいけなかったのかしら。
一体何処で綺麗に人生踏み外させたんだろう。これも私のせい、って奴だよね。
相変わらず小十郎の腕の中にいる私はどうしたものかと考えている。
まさか突き飛ばすわけにもいかないし、何か下手に声をかけると地雷にダイブしそうな気がして何も言えない。
困った、なんて考えてるところで、首筋に何か冷たいものが落ちたことに気がついた。
ぱたぱたと首筋を伝うそれが、水であることに気がついたのはしばらく経ってからのことだった。
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