第三話
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さそうな顔をして小十郎が入って来ていた。
「……申し訳ございません。姉上を引き取りに参りました」
何てタイミングだ、と政宗様は思っているような気がしたけど、こちらとしてはグッドタイミングです。
私は政宗様から離れて小十郎の側に行く。
小さく舌打ちしたのを聞いたけど、私は無視を決め込む事にした。
だって……嫌だもん。
政宗様が欲しいと言ったら逆らっちゃいけないのはわかるけど、
好きでもない相手に抱かれるだなんて、いくら偉い人だからと言ってもそれだけは譲れない。
どうせならちゃんと恋をして、好きな人に抱かれたい。
それって贅沢なことじゃないでしょ?
そりゃ、この時代の感覚にはそぐわないかもしれないけどもさ。これだけは譲れないよ。
「ありがとね。助かった」
陣の外に出てそう言えば、いいえ、と短く小十郎は言った。
立場上複雑なんだろうなぁとは思うけど、それでもこればかりは譲ってはやれない。
「……それほど嫌ですか、政宗様の側室になることが」
「うん」
「…………」
即答で返してやれば小十郎は呆れたような顔をして溜息をついていた。
「姉上が望まないものを小十郎がとやかく言うつもりはございません。
が、政宗様の御気持ちも考えて」
「なら抱かせてやれって?」
結局はそういうことでしょう、と含みを持たせてやると小十郎は少し困った顔を見せていた。
「そうは言っては……いえ、申し訳ありません」
大体さ、好きだとか言われても応えられないし、私もそれに応える気も無い。
身体なんか抱かせてやればますますその気になっちゃうし、
政宗様がそういうのを求めてる訳じゃないのもよく分かってる。
だからちゃんと私の気持ちで答えてるってことを分かって貰いたいんだけどもねぇ。
べったりと政宗様にくっ付いてる小十郎は、私がこんなんだから苦労してるのかもしれないなぁ。
どうやって落とせばいいのか、なんて相談してたとしたら哀れ過ぎて泣きたくもなる。
でも、申し訳ないとは思うけどこればかりは譲れないしね。
どうせ恋をするならもっと性格が真っ直ぐな方がねぇ……面倒臭くないし。
「迷惑かけてるかな、小十郎に」
ほんの少し気遣うように言った私に、小十郎は黙って首を振って穏やかに笑っていた。
「いいえ。小十郎は姉上が幸せであることが一番です。
無理をされているのを見る方が余程辛い……だから気になさいますな」
そんな風に言ってくれる小十郎が、本当に神様みたいに見えた。
うう……いい子だ。いい子だよ、この子。
育て方間違ったんじゃないのかって思ったけども、ちゃんと昔みたいに優しいいい子だよ。
本当、変わって無くてお姉ちゃん嬉し
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