第三話
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間についそんなことをぼやいてしまう。
いくら強いし体力もあるとは言っても、やっぱりこの中途半端な身体は男性の体力には及ばなくて、
同じように動いているとスタミナ切れも早く来る。
疲れたまま動き回って、今晩の野営地を決める為に相談している最中、
うつらうつらとしていたところで小十郎に軽く肩を叩かれた。
「もう少しだけ辛抱して下さい。そろそろ野営の支度を致しますので」
「りょうかーい……」
とは言ったけど眠いものは眠い。
部下の前でこんな態度取ると良くないってのも重々承知、でも体力がないのよ。もう。
再びうつらうつらとし始めたその時、今度は誰かにひょいっと抱き上げられた。
思わず覚醒して何事かと顔を見れば、そこには政宗様の姿が。
「Princessはもう体力切れか? こんなんじゃ奥州まで持たないぜ?」
にやりと笑ってそんなことを言うもんだから、私もただ苦笑いを返す。
「……私はお姫様じゃないですよぅ」
「良いじゃねぇか。俺の側室になりゃ、姫の生活させてやるぜ?」
ないない、絶対にそれはない。つか、アンタの愛人なんて有り得ない。
無双の政宗様なら二つ返事でOKしたけど、アンタはない。だって族の頭だもん。ありえませんて。
「あっはっは……御冗談を」
「俺は本気なんだがな」
それにいくら外見は政宗様と同じくらいに見えるほどに若いからって、
こんな身分の低い三十近い女を側室に貰うだなんて家臣の皆さんが黙っちゃいないでしょーに。
加えて、私のこと男だと思ってる人がほとんどなんだしさ。
「駄目ですよー、あんまり私をからかっちゃ。生真面目な小十郎が止めに入りますから。
側室だなんてとんでもないって」
「……姉上がそれでよければ、止めるつもりは」
「何か言ったー? 聞こえなかったなぁ?」
小十郎は黙って少しばかり困ったような顔をしている。
これ以上なんか余計なこと言ったら頭握り潰すぞ、というオーラを放っておいたから
止めることはあっても賛同する事はこれ以上はないだろう。
全く、空気を読んで発言してくれっての。政宗様の側室なんて御免だわ。
勢いをつけて政宗様の腕の中から飛び降りて、上手く地面に着地する。
今のですっかりと目を覚ました私は、馬に飛び乗って兵達を率いて野営地まで向かうことにした。
どういうわけか知らないけど、政宗様にえらく気に入られてしまったようで、
小さい頃から俺の嫁になれ、とか、嫁が駄目なら愛人で、とかそんなことばかり言われている。
いい加減ウザいとは思っているのだけど、これでも主だからボッコボコにぶん殴るわけにもいかない。
これが無双の政宗様なら……と思うんだけど、ど
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