第二話
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郎に文句があるってのか?」
敵を切り払いながら現れたのは小十郎と私の主である伊達政宗様。
ルー語のワンランク上の言語を操るこの男、私が好きだった政宗様とは程遠いどころか掠りもしねぇ。
うう……私、無双が好きだってあんだけ熱く語ったってのに、
どうして戦国“BASARA”の世界に落とすんだっての……もう、嫌がらせとしか思えないじゃないの……うう……。
「私が甘やかしたばっかりにこんな不良になっちゃって……出来ればもっと真っ当な職に就いて貰いたかった……うう」
「おいおい、伊達の軍師様だぜ?何処が真っ当じゃねぇってんだよ」
「ポジションは族を束ねるヤクザでしょう!?
……あの、ひよこみたいに私の後くっ付いて歩き回ってた小十郎が立派に人生踏み外して……
お姉ちゃんは悲しい!!」
切りかかってきた敵を軽く返り討ちにしながら、大将を探して歩き回る。
しっかりそのやり取りを聞いていた小十郎は私に背を向けているけれど、
きっと恥ずかしさで顔が赤くなっているのは何となく分かった。
だって、可愛い小十郎が……小十郎が……うう……。
「つか、小十郎の中で私ってあんな認識だったのよね。
常々、姉上のような人になりたいって言ってたけど、まさかあんな風に映ってたなんて……全部私のせいなのね」
束になってかかってきた兵を一網打尽に薙ぎ払い、分隊長と思われる兵を倒せば一気に統率が乱れて兵が逃げようと右往左往する。
「……姉上、毎回戦場で嘆くのは止めていただけませんか。士気が下がります」
周りを見回してもこちらの兵達の士気が下がっている様子はない。
というか、私が叫んだのだって気にしてる様子は皆無だ。
「下がってる様子、ないけど」
「……小十郎の士気が下がります」
ああ、そういうこと。でも、嘆きたくなるんだもん。私の可愛い小十郎がー、って。
「士気が下がったくらいで判断誤るほど温い教育を受けてきたわけじゃないでしょ。
もしそうなったら、姉上に怒られるわねぇ」
私の口から出た姉上、という単語に小十郎がびくりと震える。
姉の喜多は小十郎にとっての究極のトラウマでもあり、幼少期から散々叱られて厳しく育てられたのが
三十近くなった今でも心の傷として残っているというのだから本当に救われない。
竜の右目と恐れられているこの弟を本気で竦ませて怯えさせられるのは、実のところ姉だけだったりする。
そりゃあさ、姉のいる弟ってのは不憫なもんだってのは分かってるよ?
でも、姉に説教されるのと腹を切るのとどっちがいい、と聞けば、即答で切腹すると答えるのだから、
もう本当救いようが無いじゃないの。
「疲れたしお腹も空いたし、そろそろ終わりにしようか
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