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外伝 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
追憶  〜 帝国歴487年(三) 〜
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いるのはローエングラム伯の艦隊だけです。他の司令官は既に艦隊の編成を終了し訓練中です。司令長官もようやく編成が終了し艦隊の訓練に入りました』
スクリーンに映るシューマッハ大佐は多少苦笑気味だ。

「如何いう事かな、大佐。何故ローエングラム伯の艦隊編成が遅いのだ?」
『各艦隊の編成はヴァレンシュタイン副司令長官が手伝う事で速やかに終わったそうです』
「ローエングラム伯の手助けはしなかったのか?」
『自分の手助けを嫌がるだろうと。それで何もしていません』
そうかもしれんが……。

「まさかとは思うが口も利かんのではあるまいな」
大佐がまた苦笑を浮かべた。
『それは有りません。副司令長官は毎朝司令長官室に入り打ち合わせをしております』
「そうか」
むしろ深刻だな。毎朝出入りしながら編成について話をしない。ローエングラム伯はヴァレンシュタインに弱みを見せたくないと思っているのだろう。ヴァレンシュタインもそれを放置したままだ。御手並み拝見、そんなところだろうか。

「伯は遠征を計画しているが大丈夫なのか? その調子で」
『その事で多少揉めています』
「ローエングラム伯とヴァレンシュタインがか?」
『はい。分艦隊司令官が不安だと副司令長官は見ているようです。今回だけ正規艦隊司令官から選ぶか、一個艦隊での出征は危ないから出征の規模を大きくするかを進言しています』
大佐はもう笑っていない。大佐も不安が有ると見ているのかもしれん。分艦隊司令官は確かフォーゲル中将、エルラッハ少将だったと思ったが……。

「分艦隊司令官は誰かな?」
『フォーゲル中将、エルラッハ少将です』
うむ、記憶力は衰えていない、大丈夫だ。二人とも特別悪い評価は聞かないが出来るという評価も聞かない。平凡と言ったところか。考えているとシューマッハ大佐が言葉を続けた。

『副司令長官は次の戦い、反乱軍は精鋭部隊が出てくる可能性が高いと見ています。小官もそれについては同感です』
「なるほど」
確かに危ういかもしれん。ヴァレンシュタインが危惧するのも無理は無い。
『それにフォーゲル中将、エルラッハ少将のお二人は司令長官に対して良い感情を持っておられません。その辺りも副司令長官は危惧しています』
思わず溜息が出た。敵だらけだな、何をやっているのか。本当に簒奪を考えているのか? 疑問に思えてきた。

『閣下、現状ではローエングラム伯が妙な事を考えても正規艦隊司令官達は誰も付いて行かないでしょう。司令官達は自らの艦隊編成に頭を痛めているローエングラム伯よりも自分達の艦隊編成を手伝ったヴァレンシュタイン副司令長官に心服しています』
「……」

『艦隊編成もいささか鮮やか過ぎます。司令官達は喜んでいますが小官はむしろ恐怖を感じました。抜擢された士官達の殆どが副
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