13話
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何不機嫌な顔してるのよ?」
「いや、そんな顔はしてないよ」
不機嫌な表情など0.1秒さえも見せてはならないとばかりに、良い笑顔を詩乃に向ける。流石に態とらしいものが有るが、詩乃も四季が一誠と仲が悪い事は知っているので、それが原因だろうと納得した様子だった。
「有り金の半分つぎ込んでしまった」
「へたくそ」
ハンバーガーショップで出た後で見つけたゲームセンターのクレーンゲームの景品のぬいぐるみを見入っているアーシアに対して格好をつけた一誠がそれを取ってあげると言ったのだが、設定の為か有り金の半分注ぎ込んでも未だに取れていない。
一瞬で有り金の半分を失った一誠の煤けた背中を見て失笑している四季の図と言ったところだ。
「だったらお前がやってみろよ!」
「良いぞ」
そう言って一誠と交代すると100円を投入……結果、
「嘘だろ……」
「当然の結果だ、アウトレイジ舐めるな」
一回で二つもぬいぐるみを確保するという結果を見せ付けていた。
「はい、詩乃」
「えっと……ありがとう」
四季から渡されたぬいぐるみを受け取りながら照れながらも嬉しそうに微笑む彼女の姿に見惚れている四季。欲しがっていたのはアーシアだろうが、基本的に常に詩乃最優先の思考をしている四季である。二つ有っても二つとも彼女に渡すのは当然の行動である。そんな詩乃をちょっと羨ましそうに見ているアーシア。そして、
「ち、ち、ち、ちくしょー!!!」
どうせ失敗するだろうと思っていた四季が一度で成功した姿を見て絶叫と同時に再び財布の中身を大量に投入し始めた。流石に数を繰り返せば成功したのか、財布の残金が其処を付く寸前にぬいぐるみを取る事に成功した一誠だった。
「一誠さん、詩乃さん、五峰さん、今日はありがとうございました。こんなに楽しかった日は初めてです」
楽しい時間は過ぎて夕闇に包まれた公園、アーシアの手にはクレーンゲームの景品のぬいぐるみが抱かれていた。
この時、ちょっと飲み物でも買いに行こうと思ったのが間違いだったのだろう。一誠に三人分の飲み物を買ってくると告げて公園を離れてしまった時……一誠の前に再び、『天野 夕麻』と名乗っていた堕天使が現れたのだ。
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