第五章
[8]前話
キャサリンも紅梅もだ、前を見つつお互いに話した。
「じゃあね」
「これからもね」
「日本文化学んでいきましょう」
「文化をね」
「確かに深くて難しいけれど」
「それでもね」
あえてと話してだ、そして。
二人で席を立ってだった、キャサリンも紅梅もお互いに顔を見て笑って言った。
「明日は論文ね」
「論文書きましょう」
「現代日本文化について」
「今日見てきたものについてね」
「それで教授にも見てもらいましょう」
「出来上がったら」
その時にと話すのだった。
「何かと大変な論文になりそうだけれど」
「論文を書かないとね」
それこそというのだ。
「学者じゃないから」
「論文を書け、さもなくば滅びよ」
この言葉もここで出た。
「そう言うから」
「だからね」
「書いてそして」
「見てもらいましょう」
二人の学問の成果をだ、そして実際に論文を書いて担当の教授にそれぞれその論文を見せるとだ、教授は驚いた顔になって二人に言った。
「いや、二人共ね」
「はい、どうでしょうか」
「私達のそれぞれの論文は」
「こう言っては失礼かも知れないけれど」
こう前置きしてから二人に言う教授だった。
「君達はそれぞれ他の国から来たのに」
「こうした論文を書いたことがですか」
「そのことが」
「凄いね」
唸っての言葉だった。
「それでここまで書けるなんて」
「それは」
「何といいますか」
二人は教授にこう言葉を返した。
「日本が書かせてくれた」
「そうかも知れないです」
「日本文化自体がです」
「私達に書かせてくれたかも知れないです」
こう話すのだった。
「むしろです」
「そうかも知れないです」
「そうなんだね、けれど書いたのは君達だよ」
このことは変わらないと返した教授だった。
「そのことはね」
「凄いと」
「そう仰るのですか」
「うん、二人共立派な論文だよ」
こう言うのだった。
「まことにね、ではね」
「それならですか」
「これからも」
「期待しているよ」
二人の学問の成果、それをというのだ。
「日本文化、楽しんで学んで欲しい」
「そうさせてもらいます」
「これからも」
「深くて難しいけれどだからこそ面白いからね」
教授もわかっていた、日本文化のことを。そのうえでこう二人に言ってだ。二人も笑顔で頷いて学んでいくのだった。その深く難しいがそれでいて楽しいものを。
ジャパネスク 完
2015・1・27
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