第五章
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「今日だってね」
「学校が終わったら」
「働くのね」
「そうするわ」
こう笑顔で言ってなのだった。
南は実際に学校が終わるとすぐに店に入った、そうして働き。
その中でだ、カウンターで接客をしアイスクリームの用意をして時間を見て店のあらゆる部分の掃除をしつつだ。南は佳子に言った。
「こうしていますと」
「どうなの?」
「やってるっていう実感がありますね」
こう言うのだった。
「身体全体から」
「勤労意欲に目覚めたのね」
「働くことはですね」
「いいことなのよ」
微笑んでだ、南に言った言葉だ。
「それ自体がね」
「じゃあ私今いいことをしてるんですね」
「そうなるわ」
まさにというのだ。
「少なくとも誰にも迷惑かけてないし」
「そのことだけでもですか」
「いいことだし」
佳子は南と共に店のガラスや窓のところを拭きつつ話した。
「しかもお金を稼いで身体を動かして」
「そうしたこともですよね」
「いいことだし。今はお掃除してるでしょ」
「奇麗にしてますね」
「奇麗にすることもね」
そのこともというのだ。
「いいことでしょ」
「はい、その通りですね」
「働いてこそよ」
「世の中は」
「そういうことよ、いいわね」
また言った佳子だった。
「これからもね」
「働いて、ですね」
「そう、お金も稼いで」
佳子にとってこのことは副次的なものだった。
「充実した毎日を過ごすのよ」
「そうさせてもらいます」
「結局それが大事なのよ」
「働くこと自体がですか」
「そう、尊いことなのよ」
「そういうことですね」
「まあ確かにお金は大事だからね」
佳子は笑ってこのことを言うことも忘れていなかった。
「稼いでいきましょう」
「そして稼いだお金は無駄遣いをせずに節約して」
「貯めることね」
「そのことは悪くないですね」
「働いてお金を儲けて何が悪い、よ」
この辺りはカルヴァン主義であった。
「そういうことでね」
「はい、やっていきますね」
南はその佳子に笑顔で応えた、そしてだった。
あらためてアルバイトに励むのだった、お金を儲けてそれと共に労働により充実したものを手に入れてそうしてだった。
お金 完
2014・12・25
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