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Fate/stay night -the last fencer-
第二部
聖杯戦争、始動
開かれし魔眼、射貫きし魔丸
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の牙を、急所から外すことができたのはフェンサーが呼びかけてくれたおかげだった。

「つぁ……ぐっ……!」

 左肩を突き抉る杭。

 肉が潰れ、骨が砕ける音。
 自分の身体から耳へと響く不快なそれを聞きながら、刹那にこのままではマズイと判断する。

 士郎はこの状態から鎖で引きずられていた。
 あれと同じようにされては、最悪石化している両足を引き千切られかねない。

 刺さった痛みに呻く声を抑え込み、すぐさま引き抜く痛みにも耐える。

 ボトリ、と、塊のような血が肩に空いた穴から流れ落ちる。

 痛みも精神制御である程度はどうにかできるが、さすがにそのせいで石化の解呪に集中できなくなっては意味がないので、痛覚遮断(ペインキラー)のレベルを上げた。

 魔術刻印の術式を使用して止血と組織閉鎖を行い、引き抜いた鉄杭を適当に投げ捨てる。

「レイジ、傷は────!?」
「構うな。魔術回路としての性能に支障はない」

 左肩の使用不能は痛手だが、脚が無事なら運動能力の低下はそれほどでもない。
 魔術師としての能力……魔術回路としての損耗は無いに等しく、今すぐどうこう騒ぐほどの傷じゃない。

 人間としての機能よりも、魔術師としての性能を優先する。

 もとより多少動けたところで、オレにはライダーに抗する手段などほとんどない。
 ならば重視すべきは魔術回路が無事かどうかであり、肩に穴が開いた程度のことは瑣末事だ。

「おまえも急所以外を狙った攻撃は無理に防がなくてもいいぞ。その部位が完全に消失しなければ、後からどうとでも修復できる」
「……………………」

 どう見ても納得していないという顔をしているが、そんなもの知ったことじゃない。

 無意味な言葉や意見は無視する方針だ。
 勝利への布石、行動以外に余計な気を割くくらいなら、ライダーとの戦闘に集中してもらった方がまだマシだ。

 さすがにフェンサーもオレの考えに異を唱えることはない。寧ろより鋭い目つきでライダーを睨みつける。

 そして口にされた言葉は、この局面において当然とも言えるもの。

「マスター、宝具の使用許可を。
 本当は温存しておきたかったのだけれど……もういい、ここで二つ目も使うわ」

 既に詳細が判明している誓約された不敗の剣(クラウ・ソナス)と、残る二つの宝具の内のどちらか。

 士郎と凛の二人のマスターが存在し、キャスターが監視しているであろうこの状況で己が宝具を解禁する。

 後々に戦況が激化してきた際に、宝具の能力を知られていることは不利な要素となる。
 先程のオレの推測が当たっているとすれば、宝具の判明によって彼女の真名が知られることはないだろうがそれでもリスクは高い。

 危険な
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