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Fate/stay night -the last fencer-
第二部
聖杯戦争、始動
開かれし魔眼、射貫きし魔丸
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たことを、ライダーはずっと疑問に思っていたのだろう。

 彼女はその疑問の解を模索しながら戦い続け、ここにきてその答えに至ったのだ。

 だがそれだけで詰みを取られるほど、サーヴァントとは甘いものではないということも事実。

「しょうがないわね…………」

 フェンサーはそう呟くと、僅かに微笑した。

 まるでそれを口にすることが嬉しいと言わんばかりに。



 万感の思いを込めて、その呪文(ことば)を囁いた──────



set(起動)……EtherDrive(魔術廻炉)……聖遺物・概念実装(ミスティック・ディヴァイナー)!!」
(…………なんだと?)

 それはオレの、オレだけのものであるはずの起動呪文。

 記憶の夢で見た青年も同じ起動呪文を口にしたが、フェンサーまでもが同じ言葉を口にするなどということが有り得るのか。
 被ることがないとは言い切れないし、青年と親しげだったフェンサーなら同じ起動呪文を使ったというだけのことかもしれない。

 けれど後に続く呪文は、発動された魔術は、紛う事無き黒守の魔術だった。





 黒守の魔術…………それは魔術礼装に内包された概念、神秘を実行するという魔術。

 黒守の初代が一生を掛けて構築した魔術理論。
 特殊な概念を内包した魔術礼装を媒体、媒介とした理法。
 
 元々は決められた事柄を実行するだけの限定礼装から概念のみを取り上げ、魔術として行使するというコンセプトに基づいて生み出された。
 そこから少しずつ修正を繰り返しながら、そのために必要な魔術刻印を一代ずつ積み重ね、理論的にそれが完成したのは200年ほど前だ。

 ならば彼女はこの200年の間に存在した黒守の一族の誰かなのか?
 現代に呼び出されるサーヴァントたちが、全て過去から喚び出されているという固定観念がそもそも間違っていたとしたら?

 英霊となった彼らに、時間の概念というものはない。

 祀り上げられ、人々の信仰によってそうなったものでもそうでないものでも関係はなく。
 共通するのは等しく世界の埒外、時間概念さえも超越した法理の外にある座へと置かれるという点だ。



 そしてもう一つは貴き幻想(ノウブル・ファンタズム)と呼ばれる、自らの生涯を象徴する宝具を持っているということ。



 貴き幻想……物質化された奇跡である破格の魔術礼装であろうと、彼らサーヴァントが持つ宝具とは一種の概念武装だ。

 伝説になり、後世にまで語り継がれし英雄。
 彼らが持っていた武具の逸話、能力を現実に再現することを可能にさせる。

 故にその真銘を、神話魔術(ミスティック・ディヴァイナー)と云う。

 そこで初代が概念実装魔
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