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Fate/stay night -the last fencer-
第二部
聖杯戦争、始動
開かれし魔眼、射貫きし魔丸
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そッ、フェンサー!」

 前衛を張っているフェンサーを呼び寄せる。
 彼女は石化するまでの影響は受けていないようだが、魔眼による重圧で能力が抑制されている。

 軽くはない代償だが、それだけで敗北の要因になることでもない。
 共振増幅していなければ致命的な痛手になっただろうが、フェンサーが自由に動けるなら打つ手はある。

「5分以内に解呪する。それまで防衛を頼む」
「わかったわ。キャスターの使い魔にまでは気を割けないから、そっちはどうにかして」

 付かず離れずの距離を保ち、防戦態勢に入った。

 ライダーの身体がゆらりと揺れる。
 手に携える鉄杭から伸びる鎖の音が耳障りな音を立てる。

 確実にオレを狙って放たれた鉄杭を、フェンサーは振り上げた剣で弾き返す。
 こちらの様子を見るように狙う箇所、投擲方法を変え、ライダーが幾度も牙を飛ばす。

「ッ……」

 繰り返される投擲はどうということはないものだ。
 どれだけ攻め続けたとしても、このままでは一度たりともオレまで届くことはない。

 だが、フェンサーが浮かべるのは苦々しい表情。
 逡巡する刹那、それがどういうことなのかを理解する。

 ついさっきまで目まぐるしい速度で疾走し、剣戟を交し合う二人を見ていたからだろう。

 フェンサーの剣速は明らかに遅くなっているのが見て取れた。
 いや、動作による速度だけでなく、反応速度も鈍っているように見える。

 重圧による能力抑圧の影響か? …………いいや違う。

 それは彼女の武器である最速の概念が、その能力を発揮できない状況にあるからだ。
 曰く、この絶対速度の概念による優位性は使いどころが難しいと言った、フェンサーの真意はここにある。

 常に最速を実現するということは、常時相手の速度を上回り続けるということ。
 現在の相手の速度を常に更新し続けているために、その時々の相手の速度によってこちらの速度も常に変わる。

 時速100キロで駆ける相手ならば時速101キロ以上で駆けられるが、その相手が減速した場合、こちらもそれに準じた速度にまで落ちる。
 素の身体能力以下になることはないものの、そもそもの能力が高いわけではないフェンサーにとって、速度の恩恵は大きいものだったはずだ。

 ここまでの戦闘でそれを悟ったのか、今の鉄杭による単調な攻めはその考えが確かかどうかを洞察するためか。

 鉄杭で緩急をつけた攻撃を仕掛けるのも、フェンサーの速度強化の概念がどういうものかを調べるため。
 概念が最大限に発揮されずとも、鉄杭の攻撃に対処できる程度には強化されるのだろうが、遅すぎる攻撃ならば基のフェンサーの能力で対応できる。

 恐らく最初の戦闘時に有り得ない速度差で斬り伏せられ
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