第五章
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「同性愛に」
「いえ、そう言われますと」
「同性愛は古来より存在しています」
今も、というのだ。
「古代ギリシア、ネイディブアメリカン、そして本朝でも」
「日本でもですか」
「空海上人から伝えられたと言われていますが」
真言宗の開祖である、日本の仏教いや日本の歴史における最大の天才の一人とさえ言われている人物である。
「同性愛もまた恋愛なのです」
「いいんですか、同性愛」
「問題なしですか」
「そうです、それは男性でも女性でも同じです」
ホモセクシャルもレズビアンもよしというのだ。
「そしてそれもです」
「相手は一人だけ」
「それは絶対なんですね」
「そうです」
やはりこう言う奈央だった。
「異性愛と同性愛は同時にしてもいいと思いますが」
「別の恋愛ですか」
「その二つは」
「私はそう考えます、しかし」
「お相手はですね」
「それぞれ」
「一人だけです」
伴侶とだけ、というのだ。
「そうあるべきです」
「じゃあ俺も」
「私も」
生徒達は奈央の話を聞いて話すのだった。
「結婚してその相手と愛し合って」
「同性愛もしていい」
「ううん、相手は一人だけ」
「絶対なのね」
それぞれでだ。
「厳しいけれど何かな」
「妙に懐が広くて」
「何ていうかな」
「先生の恋愛って意外ね」
奈央の恋愛観はというのだ。
「いや、本当に」
「何ていうか」
「やっぱりって思うところもあったり意外だと思うところもあって」
「先生って人が」
奈央自身もというのだ。
「わからなくなってきたな」
「そうよね」
生徒達はこうも思うのだった、だが。
主任はだ、奈央の授業の話を聞いてこう言った。
「ははは、辻井先生が同性愛をいいって言うのは当然だな」
「えっ、そのことはですか」
「当然なんですか」
今度は生徒達がだ、主任に言った。それも驚いた顔で。
「先生が同性愛をいいっていうのは」
「それは」
「そうだよ、先生はお寺の娘さんだからね」
それ故にというのだ。
「お寺はお坊さんが美形の男の子を愛していた世界だったからね」
「うわ、まさに同性愛の総本山だったんすか」
「お寺が」
「そう、だからね」
それでだというのだ。
「先生は同性愛をよしって言うんだよ」
「ううん、そうなんですか」
「だからですか」
「先生はですか」
「同性愛をよしって仰ったんですね」
「そうだよ、しかし辻井先生の恋愛観は」
生徒達に教えたそれはというと。
「かなり面白いね」
「確かに。独特でした」
「相当に」
「真面目でそれでいて懐が広くて」
それでというのだ。
「面白いものだね」
こう言うのだった、そしてだった。
主任は奈央のその恋愛がどう動くの
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