第三章
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「ねえ、ちょっといい?」
「貴女図書委員よね」
「はい、そうですけれど」
下級生の娘は彼女達に本を手にしたまま答えた。
「それが何か」
「あの、川西さんのことだけれど」
「あの娘のことでね」
「聞きたいことがあるのね」
「あっ、そういえば」
ここでだ、下級生の娘は皆の制服の胸のところを見た。この学園の女子は制服の左胸のところに校章とクラス章がある。クラス章の色で学年を表している。
そのクラス章と色を見てだ、下級生の娘は言ったのだ。
「先輩達は」
「そう、あの娘のクラスメイトなの」
「それで図書委員のあの娘が気になってね」
「どんな感じかなって思って」
「それで聞きたいのだけれど」
「はい、先輩はです」
その景子はというと、下級生の娘は話した。
「こっちから声をかけないと無反応なんですよ」
「ああ、やっぱり」
「そうなのね」
「それこっちのクラスでも一緒ね」
「変わらないわね」
「けれど」
それでもとだ、ここでこう言った下級生の娘だった。
「こちらから声をかけますと」
「違うのね」
「そうなのね」
「声をかければかける程なんです」
それこそ、というのだ。
「反応が返って来るんです」
「そうなのね」
「綾ちゃんと同じなのね」
「こっちから声をかけないとなの」
「全然反応ないのね」
「自分から言わないと」
「そうした人なんです、私も最初何この人って思いました」
それこそ、というのだ。
「全然喋らなくて、無表情で」
「黙々とお仕事してよね」
「お人形さんみたいに」
「けれど声をかけたら」
すると、というのだ。
「明るく反応してくれて」
「それでなのね」
「声をかければかけるだけ」
「明るく反応してきて」
「楽しく応えてくれるのね」
「そういう人ですよ」
それが彼女、景子だというのだ。
「というか先輩達は」
「実は一度もなのよ」
「声かけたことないのよ、今のクラスになってから」
「最初見た時からあんなので」
「もう何も喋らないし無表情で」
「それで敬遠してね」
「何もしてこなかったのよ」
別に嫌ってはないがだ、景子の独特の雰囲気にも押されてそうしてだ。どうしても声をかけなかったのである。
「図書委員も何時の間にか決まってて」
「クラスの用事も気付いたら自分の分は終わらせてるし」
「何も言うことはないからね」
「学校の成績も悪くないし」
「スポーツもそつなくだから」
そうした娘だからだというのだ、それでだったのだ。
彼女達も声をかけなかった、しかしだ。
下級生の娘の話も聞いてだ、あらためてだった。
彼女達の中で話をすることにした、ここですぐにつまり図書館の中で声をかけても景子を驚かせるだけだと思ってだ。
こ
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