始まりから二番目の物語
第五話
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の、アマリリスと名乗った少女の必死が必死なのは解る。
それに一つだけ、俺でも理解している事がある。
「その子を守る事の出来る人物がいたとして、それは俺じゃないよ。…もっと、その子自身が想う大切な人がきっといる筈だ」
「……貴方も、勝者の王と同じ事を言うのね」
「それでも私は、彼を、ネイトを認めない。あの子を守る者として認めたくないの」
「…ネイト?」
「そう、貴方の弟よ。愚かな夜明け、あの子では到底叶えきれない願いだというのに」
俺が思い描いたのは、前世ではもう数年も会っていない実弟の姿。
それに、アマリリスは肯定の意を示す。
「それは何故?」
少女の返事は微笑だった。
その微笑みを見た瞬間、不意に俺に異変が生じた。
「―――時間ね」
意識が、何かに引きづられる様に浮上してゆく。
少女の言葉が、まるで意識の外側から聞こえてくる。
「一つ、貴方に教えておくわ。“敗者の王”にお気を付けなさい」
朧気な意識の内側から、聞こえ難いながらも少女は大切な何かを伝えようとしている。
「貴方と彼女の“始まり”、そこに総ての答えがあるのだから」
少女のその意味深な言葉を最後に、俺の意識はそこで途切れた。
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