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緋弾のアリア-諧調の担い手-
始まりから二番目の物語
第四話
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「ええ、こちらはいつでも大丈夫ですよ。」


黒塗りの鞄を広げて、聴診器を首から掛けるシャルニーニ。
その姿は正に女医師と言った風貌だ。貫禄すら覚える。

私達が見守る中、シャルニーニさんは早速診察を始めた。







1







「…………」


私は時夜くんの着ている上着の前ボタンを開く。そうして白磁器の思わせる肌が露わになる。
その胸元に、シャルニーニは聴診器で触れた。

意識を聴覚に集中させる。呼吸音は正常、心臓に雑音はない。

それだけの事なのに、周囲の視線が自然とこちらに集まる。視線だけで、穴が開いてしまいそうだ。
……本当に、皆この子の事が心配なのね。

この子達の関係性について、詳しくない、短い付き合いの私でもこの子がとても大事にされている事を理解出来る。


「……原因不明の高熱、そして昏睡。視診と聴診においては異状は見られない、と」


独り言を呟く様にして。
私は、予め作成しておいた診療録にざっと書き殴る。

本来の診療録は症状やそれに対する処方を書き綴る物だが、今回の場合は自身のメモ帳としての用途に近い。

なにせ原因不明なのだ。
これが原因不明の新病ならば、周囲の人間へ感染する事も考えられる。

発症から、既に三日。

触診―――指先で少年の胸部からそっとなぞっていく。
徐々に下に下がっていき、腹部に触れる。内臓周辺で極端に硬化したりと異状と思しき箇所は見当たらない。

下腹部まで探っても、結果は同じだ。異常はない。けれど、何処か違和感を感じる。

それが何かは残念ながら解らない。医師としてはあまり不明瞭な事は言いたくない。
だが、この少年を取り巻く根本的な原因はそこにあると感じていた。



「…あの、時夜くんの容体はどうなんですか?」

「…特には異状は見られないですね」


おずおずと、不安気な表情をして千鶴と名乗った少女が問い掛ける。
私は首に掛けた聴診器を外して、瞳を伏せてそう告げる。


「……出来ればしたくはなかったのですが、ここは奥の手を使うしかないですね」


『奥の手?』


凍夜以外の全員が声を揃えて、不思議そうに此方を見て首を傾げる。
そんな中、私は鞄よりとある道具一式を取り出す。


「さて、それじゃあ早速、お腹を開く手術の用意を―――」


ナイフにも似た金属製の刃物を私は取り出す。
あれがメスかぁ…等という関心とした声が周囲から上がる。うん、なるほど、手術。それなら確実だ。
シャルニーニのあっけらんとした発言に皆が思わず頷き掛け―――。


『……し、しゅじゅつぅ!?』


その直後。あまりの事に全員が声を再び揃え
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