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緋弾のアリア-諧調の担い手-
始まりから二番目の物語
第一話
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ですか、記憶には無いですけどお久しぶりです叔母さん。早速ですが、今すぐ帰って下さい。…今は誰かと会話をする気分ではないので」


少年は淡々と、そう言葉を告げる。
けれど、叔母と名乗った女性は首を縦に振る事はない。


「…悪いけれど、それは出来ないわ。霧嗣、私は貴方を迎えに来たのよ」

「……言いましたよね、俺は此処から動くつもりはない。言う事を聞いてくれないのなら、少々手荒な真似をする事になります」

「それは此方も一緒よ。貴方を連れて行く為なら、私も少々の強行策にでなければならない。今の貴方はヒトではないもの。そんな貴方を、私は見るに堪えないわ」


二人は平行線であった、故に二人が取るべき行動は単純明快であった。
武力による衝突、それにより相手を組み敷く事だ。

―――『Ezel-夜の歌-』

世界に呪詛の様にして、少年の旋律が響き渡る。
そうして、舞い降りてくる赤黒い雪を媒介にして一本の髪の毛程度の細さの刀剣を“呼び招く”。

その刀剣は媒介にした雪と同様に、黒を基調として所々に赤色が混じっている。
それを目の前の女性に向け、敵意を持って構える。

そうして相対する過去の自分と義母を見据える。






2







(…そして、俺は負けた)


今だから、何故負けてしまったのかが理解出来る。
憎悪に捕らわれ、目の前の現実すら見えていなかった自分。

そんな中で出会った、俺に未来という希望を与えてくれた一人の女性。
今の俺がこうしてちゃんと存在出来ているのは、偏に静流、そして義母さんのお蔭だろう。

―――人々の頭上に夜明けは公平に訪れる。

目の前で前世の自分が“母さん”に抱き締められ、そう告げられているのを耳にする。
それは俺に向けられた言葉ではないけれど、力強く頷く事が出来る。

今もまだ、あの日の夢に苛まれるけれど。
何時の日か俺の心も、夜明けの様に晴れる日がくるのだろうか。


その言葉を耳にしながら、俺の意識はそこで壊れたテレビの様に途切れてしまった。


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