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緋弾のアリア-諧調の担い手-
赤い夢
第三話
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居るべき人物が立っていた。
時夜が倒れたと知り、出雲を環達に任せ、駆けつけてくれたナルカナの姿があった。


「…ですがッ!」

「もし時夜が目を覚ました時、今度は時深が倒れていたら、時夜はきっと悲しむわよ?」

「…………」

「一時間でも良いから、確りと休息を取りなさい。良いわね?」


諭す様、強引にそう口にするナルカナ。
多少強引でなければ、今の時深が自ら引く事はないと思ったからだ。


「…解りました。では、ナルカナ様…後は」

「ええ、任せておきなさい。時深も確りと休息を取りなさいね」


そうして、部屋から出て行く彼女を見送る。
本当は彼女にも誰か付き添いが欲しい所。だが、この家には他に人間はいない。

彼女の夫である凍夜も、今は外へと出払っている。
私がこうして無理にでも追い出さないと、本当に倒れかねないだろう。


「……さてと」


私はそう口にして、眠っている時夜へと向き直す。

高熱、そして昏睡。
一般の医師が時夜の症状に捺したのは、過労から来るものだと言う事だ。

その診察を信じていない訳ではない。
だが、倒れる前までは話によれば、そこまで疲労が蓄積する様な事はしていないと言う。

その診察は所詮、一般的な観点のものだ。
私は指先にマナを灯し、心臓部に手を馳せる。

触れた手から、時夜の心臓の鼓動が伝わってくる。
規則正しく一定の鼓動を刻むそこには、異変の類は感じられない。確りと呼吸が出来ている。


「…身体を構成するマナに、乱れはないか」


心臓部、そして身体内外を構成するマナに乱れはない。
それを確認しながら、素人目に触診を続けて見るが異変は感じられない。

まぁ、ナルカナ自体に医学の心得がない為になんとも言えないが。
所詮は見よう見真似の、漫画で得た知識程度でしかない。

医師の見落としも考えたが、それもやはりは無かった。
素人が見付けられる様なものならば、専門の人間が見落とす筈がない。

……本当に、どうしたというのだろうか。


『…ナルカナ、時夜はどう?』


不意に、時夜の枕元に置かれた小太刀型の神剣がそう口にする。
そこには、自らの主を心から心配する声音が含まれていた。


「…いえ、ダメね。私ではなんとも言えないわ。ごめんなさいね」

『……そう』

「最近だけど、時夜に変わった事は無かった?」

『…得にはないわね』


時切は、あの日の事を思い出していた。時夜が倒れた日の、その深夜の事だ。
ヴィクトリアが公言していない為に、自分が話すべき内容ではないと、心の中で断ち切る。


「…そう。そう言えば、ヴィクトリアは?姿を見ないんだけど」

『リ
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