暁 〜小説投稿サイト〜
緋弾のアリア-諧調の担い手-
陽だまりの日々
第四話
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んの作る卵焼きは絶品と言える一品だ。
外は厚焼きでふわっとして、中からは出汁がいい感じに効いている。


「…………」


ふと、不意に視界にその子が映った。

周囲の園児達とも会話せずに、一人で弁当を突く少女の姿。
俺や亮と同じく、年中からの入園の女の子。

俺と同じく、別の意味で周囲に溶け込めていない感じの子。
まだ、幼稚園が始まっていから一週間程だから何とも言えない。

だが、その少女は俺が“知っている”雰囲気とはかけ離れている。

俺の知る彼女は、一言で言えば天真爛漫だろう。
太陽の様に眩しい笑顔と、無邪気さが目立つ少女。

今俺の前にいる彼女は一言で現せば、まるで真逆だ。
内気で、人見知りの様に見える。それが周囲に交われない理由であると。

だが、人の内面は一朝一夕ではどうにもなる事はない。
そこに、何かしらのきっかけと、意思がなければ変わる事はない。


「平賀さんがどうかしたのかい、時夜くん?」

「あっ、いや…いつも一人でご飯食べているなってさ」


彼女の方を明らかに注視している為に、そう指摘されてしまった。
本人にはバレていない事が幸いか。

平賀文。
彼女も俺が知る、緋弾のアリアに登場する原作キャラの一人。
彼女は平賀源内という江戸時代の発明家の子孫であり、原作では機械工作の天才だ。

俺は入園式の時点で、名前で彼女の存在を既に知っていた。
最初は、同姓同名かと思ったがこうして面と会ってみると本人だという事が分かる。

性格は若干違うけれど、機械好きなのは変わらないだろう。
彼女は早々と昼食を済ませて、何かの設計図の様なものに目を通している。

それが何かは分からないけれど。
ただ、いつも一人でいる彼女の姿は少し寂しく思えた。


「なぁ、亮」

「なんだい?一応解っているけれど、聞こうか」


俺のお母さんの作ったデザートの桜餅を分けて、互いに食べながら話をする。


「お昼休みにでもさ、平賀さんの事遊びに誘ってみないか?」

「平賀さんを?」

「ああ、あの子いつも一人でいるだろう?余計なお世話かもしれないけどさ」

「…うん、良いんじゃないかな。僕も、その意見には賛成だよ。だけど、決して余計なお世話ではないと思うけどね」

「…どう言う事だ?」

「多分、人との距離の縮め方が解らないだけだと思うよ」


何事もきっかけが大事だと、亮は口にした。その言葉には自然と重みが感じられた。
感服する程の慧眼だな。先の俺と、全く同じ事を亮も感じていたのだ。






3







「よし、じゃあ全員いるな」


俺は視界に映る三人を見据えて、そう呟く。
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