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緋弾のアリア-諧調の担い手-
陽だまりの日々
第四話
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な物を一瞬感じたけど、うん。
今日も今日とて、変わらない平穏な一日の始まりだ。






1







「………」


現在は授業中だ。
幼稚園とはいえ、簡素的な物ながら授業と言ったものが存在する。

今の時間は、算数の授業の時間だ。
死ぬ前がこれでも大学生であった為に、こんな初歩的な授業等を受ける必要を感じない。

それよりも、幼稚園が始まってからのこの一週間。
授業なんぞよりも、遥かに危険な敵が直そこにまで迫っているのだ。

簡単にして単純な授業、呪詛の様に囁かれる先生の声。
そして、この暖かく柔らかい春の陽気。

実際に、危なく襲われて敗北しそうになった事もあった。
授業よりも、負けない様にする事に精神力を大きく摩耗させられる。

これは未知なる“敵-睡魔-”と俺との闘いなのだ。一瞬の隙が命取りとなる。
奴らは、隙を見せればその隙を狙ってこちらを容赦なく狩りにくる。

正にデットオアライブと言えるだろう。

言ってもいいですか、これは拷問か何かか?

……やめろ、早まるな俺の左手。
眠たさのあまりに薬物をやっているかの様に、大きく震える腕。

そして朧気な瞳で、俺は歳相応の不恰好な字で算数を解く。
そんな風に内心で遊んでいると、午前の授業の時間が過ぎ去って行った。






2







昼食の時間。
頂きますと、全員で手を合わせて園児達はそれぞれの昼食にありつく。

園児達のお弁当は色とりどりで、前世で流行った様なキャラ弁などと言った物も見られる。
料理スキルゼロの俺には到底無理で、感嘆の意すら覚える。

俺と亮は一緒に昼食を摂る。
そうして他愛ない会話をしながら、互いの弁当のおかずをトレードしたりしている。

前にも思ったが、やはり他の園児とは何処か波長が合わない。
その点、亮は歳不相応に落ち着いているが、背伸びしている様な感じも見られない。

まるで、本当の意味で“同年”と話している様で、その会話には実がある。

それ故に、基本亮と昼食を取る事が日常と化しているのだ。
教室の開いた窓より、穏やかで優しい春風が吹いて桜が一緒に流れてくる。

その風が頬を撫で、微かに桜の花びらの匂いが香る。


「…このいなり寿司美味しいよ。時夜くんのお母さんは料理上手だね」

「それを言うなら亮のお母さんもだろ、この卵焼き出汁が効いていて美味しいな」


うん、苦労した後のご飯は美味しいな。といって、軽く遊んでいた様なものだけど。
亮とトレードした卵焼きを噛み締めながら、しみじみとそう思う。

卵焼きは、それぞれの家庭で作り方や味付けが違う為にそこに個性が出てくる。
亮のお母さ
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