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緋弾のアリア-諧調の担い手-
陽だまりの日々
第四話
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「お兄ちゃん!」

「…おっと、と。こらライカ、急に飛び込んで来たら危ないだろう?」


俺は後ろに転ばない様に、少女に怪我をさせない様に、優しく抱き締めて踏み止まる。
そうして少女を離して、正面からその容貌を見据える。

美しく長いブロンドの髪に、宝石の様なエメラルドの瞳。
どこか妖精めいた容姿で、触れれば壊れてしまいそうな華奢な身体。

少女の名前は火野ライカ。
俺と同じく、今年幼稚園に入った年少の女の子だ。何故だか俺は彼女に慕われている。

そう、この少女は緋弾のアリアAAの火野ライカ本人だ。
容姿も本編の彼女を幼くした様な感じであり判別する事が出来る。
だが、似つかないのはその雰囲気だろう。

本編では勝気で男勝りな性格をしている。
けれど、今対面している彼女はどこか守ってあげたくなる様な雰囲気。保護欲を駆り立てられる女の子だ。


「……ごめんなさい」


シュン…と意気消沈するライカの頭には、思わず垂れ下がった犬耳が錯覚として見える。
確かにライカは犬の様だと内心で思う。そんなライカの頭に手を這わせ、優しく撫でる。


「次から気を付けてくれればいいよ」


優しく諭す様に、そう告げる。
幸いにも、まだバスは動き出していない。動き出していれば怪我をしていたかも知れないのだ。


「……あっ」


気持ち良さそうに目を細めていたライカは、手を離すと名残惜しそうにその手を見つめた。


「―――時夜くん」


ここ最近はもう聞き慣れた親しい、親友とも呼べる少年の声が聞こえてくる。
俺はそれを耳にし、彼女の手を繋いでそちらに向かう。


「おはよう、亮」

「うん、おはよう時夜くん」


互いに朝の挨拶を交わし、俺とライカは空いていた後ろの座席に腰かける。
そうしてバスは動き出す。その中で、いつもの日課の様に、他愛ない会話を始める。

そして、いつもの様に抱き着いてくるライカの頭を撫でる。
それに対し、気持ち良さそうに目を細める幼女。

犬であれば、尻尾をぶんぶん…と振っている事だろう。
またもや、幻覚の様に振るわれる犬の尻尾が見える。

ライカを犬の様だと例えたのは、あながち間違えではないだろう。
そんな少女を愛おしく、純粋に可愛いと感じる。

決してそこに疚しい気持ちは存在しない。断じてない。


「えへへっ、お兄ちゃん」


これが、俺の前世の真性のロリコンの友人ならば狂喜乱舞ものだろう。
あいつは、幼稚園のバスに乗った園児を見ただけでテンションが上がるからな。

今のこの光景を目の当たりにしていれば、殺してでも奪い取る…等と本気で言いかねない。

なんか余計な事を思い出したけど、うん。寒気の様
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