第三話
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みに具合が悪くなった。
どうやら、俺は相対的に見てこの大都会とは相性がとことん合わないらしい。
だが、これから暫くは此方で暮らす事になるのだ、早めになんとか慣れるしかないだろう。
「…お父さん、まだなの?」
「うん?もうちょっとだ、もうすぐ着くよ」
俺は背中越しに、お父さんへと問い掛ける。
それにお父さんは前を向きながら、そう答える。
現在俺達はお父さんが用事があるという事で、都会のテナントビル郡の連なる場所を歩いていた。
そうして路地裏へと歩みを進めて漸くして、その場所へと到着した。
「着いたぞ、時夜。…大丈夫か?」
「……んっ、大丈夫」
そうして背中から降ろされた俺は、既にグロッキー状態であった。
そんな俺の様子を見て、お父さんがそう口にする。
だが、見え透いた強がりだがそう言葉にする。
「そうか、直ぐに終わるからな。終わったら直ぐに帰ろう」
そうして、お父さんは小規模ながら小洒落た扉を開く。
建物の外観からして、何かのお店だろうか?
俺はお父さんの後に続く様にして、お母さんと後に続く。
「よう、俊博」
「ああ、凍夜か。久しぶりだな、大体一ヶ月振り位か?」
「そうだな、元気だったか?」
「まぁ、ボチボチだな」
お父さんは室内にいた、少々小太りな男性へと声を掛ける。
室内を見れば、洋菓子が並べられ、ショーケースには美味しそうなケーキが並んでいる。
それらに目移りしていると、お父さんとその男性は話に花を咲かせていた。
「ご無沙汰しています、俊博さん」
「おお、時深のお嬢ちゃんも久しぶりだな。相変わらず綺麗だ」
「ふふっ、お世辞として受け取っておきますね」
「……おい、俊博。人の妻を口説くとはいい度胸してるじゃないか?」
ドスの効いたお父さんの声が敵意を持って男性へと向けられる。
俺的には、お父さんのそんな声は生まれて初めて聞いた。
まぁ、人前で自分の妻を口説かれるのは見ていて良い気分ではないだろう。
「…いや、まぁ…んっ?」
そのお父さんの軽い殺気の混じる視線に、男性は気圧されて、視線が宙を見据える。
そこで漸くして、その人の視線が俺へと向けられた。
「初めまして、倉橋時夜と言います。いつも、両親がお世話になっています」
そうして、俺はペコリ…と頭を下げる。
何事も、第一印象が大切だと、俺は前世の親に口を酸っぱくして言われていた。
既に習慣着いた為に、一部の隙もなくそう頭を下げる。
「…あぁ、これはどうもご丁寧に」
今度は別の意味で気圧されたのか、男性の思考が一瞬凍結して、その声がどもる。
まるで
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