第三話
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「そうかい、もし具合が悪かったりしたら言ってね?」
「大丈夫だよ、心配しなくても」
そんな風に互いに名前で呼び合う程度には、この短時間で打ち解けている。
亮とそんな言葉のやり取りをしていると同時、園長先生の話も終わり、入園式も無事に終了した。
1
式が終わった後。父兄同伴の中、担任の先生の下。
自身に宛がわれたクラスである、ゆり組みでの園児同士の軽い顔見せも終わった。
入園式からここまでの経過時間が1時間半と言った所。
長い様で短い時間は、漸く終わりを告げた。
「それじゃあね、時夜くん」
「うん、またな亮」
「次に会うのは…確か来週だね?次に会う日が待ち遠しいよ」
「ああ、俺もだよ」
バイバイ…と手を振って帰る亮に、俺も見えなくなるまで手を振り返す。
それを時夜は気付いていないが、両親が温かい目で見守っている。
そうして、この世界での初友達の亮とも別れた後の事だ。
不意に、お父さんに後ろから両肩に手を置かれた。
「時夜、初日から上手くお友達が出来たみたいだな?」
「…うん、亮って子だよ。直ぐに仲良くなれたんだ」
「…そっか、良かったよ。なぁ、時深?」
「そうですね、時夜は育ちが独特でしたからね。しっかりお友達が出来るかどうか心配でした。……もしかしたら虐められたりするんじゃないかと」
時深はそんな息子の姿を見て、安心する様に、そっと息を吐く。
母親の思考に心配症だとは思うが、否定出来ない部分もある。特に虐めに関してだ。
俺の前世でも、園児同士の虐めというものはランクは低いがよく報道等で放送されていた。
「…俺は大丈夫だよ、何かあったら直ぐ言うからさ」
「…そうだ、時夜に何かあったら情報科や探偵科の総力を挙げて対処するしな」
……果たしてそれは大丈夫と言えるのだろうか?
国家権力の無駄使いとしか思えない。家の親も親バカとは言え、そこら辺は弁えてると思ったのだが。
…激しく不安だ。
もしそんな事態に陥って、次の日に園児が数人消えていたりすると思わず、ゾッ…とする。
「とにかく、俺は大丈夫だから。そこまで気にしなくてもいいよ」
そう釘を刺しておかないと、本当にやりかねないのが恐い所だ。
うん。
とにかく、俺もそんな状況に陥らない様に上手く立ち回ろう。
2
「………」
「時夜、大丈夫ですか?」
「……うん、なんとかね」
お父さんの背中におぶられた俺へと、そうお母さんが心配そうな声音で訊ねてくる。
幼稚園を出た後の事、再び東京の街中を歩いていた俺は人混
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