暁 〜小説投稿サイト〜
緋弾のアリア-諧調の担い手-
陽だまりの日々
第一話
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に差している“時切”も、小太刀ではあるが五歳児の身体には重く、それ故に“此処”が何処であるのかを然りと想起させる。

ゆったりとして、森を観覧する様に俺は歩いている。
だが、この新緑の森に足を踏み入れてからというもの、一切の気は抜いていない。

常に周囲に、警戒の糸を張り巡らせている。
気を一瞬でも抜けば、それこそ一瞬で終わりにされてしまう。

此処は、“戦場”なのだ。

鍛錬とは言え、相手が手を抜く事などしてくれる訳ではない。
実践と同じだ、一つの失敗が自らの命を危険へと及ぼす。

―――刹那、本能が警笛を打ち鳴らす。


「…時切ッ!!」

『―――プチ・タイムアクセラレイト!』


膝をバネの様に屈めて、一気に前方へと飛び出す。
それは脅威的な速度を誇り、五歳児の、人間の出せる速度を超越する。

そうして、俺は時間ごと加速する。
つまりは、端的に言えば瞬間移動の原理に近い。

俺が唯一使う事の出来る、時系統の神剣魔法。
自身が加速する事によって、総ての世界の物質を、事象を置き去りに振り消える。
周囲にとっての一秒は、俺にとっての十秒に、十秒は二十秒へと変換される。

―――速く、速く、速く、速く……!!

俺は振り返る事もせずに、ただ前へと歩を進める。
弾丸の様に、閃光の様に、一筋の奔流となって駆け抜ける。

自身の背後。
先程までいた場所からは、激しい轟音が耳を刺し、周囲を焼き尽くす炎の異臭が漂う。
この攻撃は、神剣魔法“赤”による、遠距離砲撃。


「…リア、居場所はッ!!」


更に加速すると同時。
俺は時切を抜刀して、索敵を行っていたリアへと呼び掛ける。


『北東に五十の地点に、『赤』と『黒』の防衛人形(まもりひとがた)が二体存在します』


特定された座標。
その情報を聞いて、俺は北東へと一気に駆け抜ける。
…まずは、強力な神剣魔法を有する赤から切り倒す。


「……焼き払え」


森林を抜けると同時に、呪詛とも思わせる抑揚の無い声が耳へと届く。
森の中の開けた場所に出る。それと一緒に赤髪の無表情な少女の姿が目に映る。

目線が合ったその瞬間。
距離にして20数メートルの位置から業火が此方に向かって放たれる。


「―――リアッ!!」


俺の意思を読み取ったかの様に、宙に浮遊する鞘の内一本が対角線上に潜り込む。
炎が鞘へと触れた刹那、それは蒸発するかの様に霧散する。


「…ふふっ、切り裂いて上げるよ」


口調の割に、抑揚の無い声が直ぐ前から響く。
それと同じく、感情の籠もっていない黒の瞳をした少女が黒い突風と化して突っ込んでくる。


「―――オオオォォォ!!」


俺も
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