三十五話:歪んだ歯車が動かす者
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前半はそのままの意味さ。後半は……本人が一番良く分かっているだろう?」
アザゼルの問いに関して淡々と答えながら、ルドガーの方に意味あり気に視線を送るヴィクトル。一方のルドガーは黙ってヴィクトルを見ているだけで何も答えない。
「じゃあ、次にお前は『禍の団』の人間か?」
『禍の団』それはアザゼルが危惧している組織の名前である。あらゆる勢力の強者が集まった種族混合の組織だ。以前に黒歌やヴァーリが入っていた組織でもある。活動としてはまだ始まったばかりであるが厄介なテロ組織であることには変わりがないであろう。
アザゼルは今回のような各勢力のトップが集まる場において仕掛けてくるかもしれないと考えていたので真っ先にその名前を言ったのである。ヴィクトルはその問いに関して少し考えるようなそぶりを見せてから口を開いた。
「そうであると言えばそうなるが……私は彼等を足として利用させてもらっているだけだ。
彼等が何をしようと私は私の目的が果たせればそれでいい」
「薄情な人間だな」
「私達の一族は皆そのようなものだ。……現に私は今、彼等がハーフヴァンパイアの少年を捕えるのに苦労しているのを知っていながら、それを無視してこちらに来た」
「何ですって!?」
ヴィクトルの言葉にリアスは叫び声を上げる。それは当然の事だろう、ハーフヴァンパイアで当てはまるのは自分の眷属であるギャスパーしかいないのだから。そんな彼が今敵の脅威にさらされていると知れば情愛の深いグレモリーとしては黙っていられるはずがない。
彼女は立ち上がりヴィクトルを睨みつける。
そんなリアスの様子にヴィクトルは少し微笑みを浮かべるだけで何も言わない。ヴィクトルの余裕のある表情にリアスは歯噛みしながら、必死に自分の可愛い『僧侶』の無事を祈る。
そんなリアスの様子に気づいたのかヴァーリが立ち上がり優雅な笑みを浮かべて話し始める。
「グレモリーさん。あなたの眷属は大丈夫よ。私はその計画を知っていたから彼を私の仲間達に守ってもらいに行かせたの。しかも、黒歌さんもそこにいるんだし。そもそも、そのせいであなた達は苦労しているのでしょう? ヴィクトルさん」
「君達は確か、つい最近抜けたと聞いた。まあ、私にとってはどうでもいいことだがね」
「私はあなたを一度も見たことが無いのだけど、どこにいたのかしら?」
「利用しているだけの関係だ。私の目的と重なる時以外は共にいることなどない」
ヴァーリはつい最近『禍の団』に入り、そして抜けたために計画の一部を知っていた。本来であればどこにも属さないことにしている彼女は知っていても特に何もしないのだが、このまま育て
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