番外20話『アッパーヤードに触れてみて』
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げる。
「あ、なんかごめん」
どうにもお気楽に頭を下げるハント。ナミが慌てて「あ、あの」と言葉を漏らそうとするが、もうナミが介入できるような状況ではない。
「ほっほう! 謝って済む問題じゃあないぞ」
「ここは聖域、貴様ごとき青海人が足を踏み入れて良い場所ではない」
「いや、だからごめんなさい」
玉のように丸い男とゴーグルをした男の高圧的な態度に、ハントはやはり本当に悪いと思っているのかもわからないような態度で頭を下げる。
「8人のうちの1人なわけだが……どうする?」
「……どうもこうもさっきの男と同様、早い者勝ちでどうだ」
「ほほう、面白い」
「構わん」
坊主頭、ゴーグル、丸い、腕組み。それぞれが順に答えて、ここに来てやっとハントも状況を理解した。
「ナミ、どうやら俺が狙いらしい」
「……うん」
「先、行ってくれ」
「え……で、でも――」
「――俺が負けるとでも?」
小声で会話する中、ハントにしては珍しい真面目な声だ。だが、ハントらしからぬ自信に溢れた声でもある。自身がいたほうが足を引っ張ると判断したナミがすぐさまウェイバーのアクセルを踏み込んでそこからの離脱を計る。
「助けはいらない、後から俺も合流するさ」
背後から聞こえてくるハントの声に、無言で頷いたナミがそのまま遠ざかっていく。もちろんナミを狙いに入れていない4人の男はそれに関して咎めようという腹積もりはないため、それは簡単にスルー。
「さて」
ナミが無事に離脱したことを確認したハントは、手首足首を軽く回しながら少々不機嫌そうにつぶやく。
「ナミとのデートを邪魔しやがって……こっちだってケンカを売られたら買うっての」
神の住む土地、アッパーヤード。
4人の男と、ハントによる戦闘が始まった。
ハントが戦闘を始めたアッパーヤード。そこから少し離れた地点。
白い海を、ウェイバーに乗ったナミが突き進んでいた。
その表情は当然だが、つい先刻まであったように明るいそれではなく深刻なソレだ。当然だろう、恋人たるハントが4人の男に囲まれていたのだ。
だが――
「私たちが不法入国者って……しかもあの4人ってなんか結構偉いっぽかったし……あぁ、ハントが倒しちゃったらまた大ごとになる予感が」
――ナミの表情が深刻な理由はハントのことを心配して、というわけではないらしい。
彼女の口ぶりから察するにナミはハントが4人に負けるという可能性すら考えていない節すらある。それに関しては素晴らしい信頼関係といえるのだろうが、それはともかく。
ナミが心配しているのはこれから先のこと。
せっかく空島に来るというという夢のような体験をしている最中だという
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