番外20話『アッパーヤードに触れてみて』
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そう考えたハントだったが、砲弾の射線がナミから外れていることに気づいた。足を止めて、つられるようにして砲弾の向かう先を見つめる。
直後、着弾。
爆発音が響くと同時に空気が痛いほどに震え、肌に突き刺さる。広がる煙に視界が覆われて、何も見えない。
「どういう状況だよ! これ!」
急すぎる展開に、苛立ちの声を漏らしたハント。気づけばその近く。そこに血まみれになった男が息も絶え絶えに倒れこんでいた。反射的に身構えようとしたハントだったが、それが自分に敵意がないことがわかると警戒もそこそこにその男のそばへと近よる。
「助けてくれ……船に……乗り遅れたんだ、頼む……礼ならいくらでも」
「いや、いきなり助けてくれって言われても……そん――」
「――うわぁ、ゲリラ!」
「ゲリラ?」
血まみれの男の視線の先にいる牛の面の男。それがどうやらゲリラらしいことはハントにもわかったが、それがわかったところでこの状況を理解できるはずがない。
「なに? なに?」
ほとんどベソをかきだすような様相で呟いているナミと同様ハントもまたこのついていけない状況にひたすら混乱してしまっていた。どうすればいいのかわからずに、どこか呆然とそれを見つめてしまっている。
だからこそ。
「……え?」
ふと、あたりが光に包まれて――
おそらくは平常時にあってもそれに対する反応はできなかっただろう。なにせそれはあまりにも唐突で、一瞬のことで、明確な敵としてそれを認知していなかったのだから。いや、もしかするとハントが警戒時にあったとしてもそれに対しての反応はできなかったかもしれない。それほどにそれは一瞬の出来事だった。
「っ゛!?」
――血まみれの男を中心として、一気にすさまじいまでの光量が一帯へと落ちた。
ほとんど、同時。
「――――っ!?」
ナミのハントを呼ぶ声すらもかき消すほどの轟音が世界を揺さぶる。
「……」
ナミの呼ぶ声に、彼の返事はない。
「は……ハント?」
もしかして今の光に巻き込まれたのか?
そう思ったナミが慌てて様子を確認しようとして「びびったぁ」とハントの声が聞こえた。
「は、ハント! 大丈夫なの?」
「あ、ああ……ぎりぎりで俺には当たらなかったけど……これ直撃したらちょっとシャレにならないぞ」
どうやら先ほどの衝撃で木々の茂みへと吹き飛ばされてしまっていたらしいハントがひょっこりと顔を出して、先ほどの光が落ちた一帯を見つめている。
「ハント……はやく行きましょ! もう嫌なんだけど私! さっきのゲリラっていう牛の面をした男だっていなくなってるし、私たちもはやく行かないと絶対にやばいわよ!?」
もはや恐怖が
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