番外20話『アッパーヤードに触れてみて』
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ルフィたちがパガヤの家へと入っていくことにすら気づかずに、ウェイバーを操るナミだったが、岸にもう誰もいなくなっていることに気付いた。
「……」
彼らがパガヤの家に行ったということに……いや、正確には彼もがルフィたちと一緒に自分の側から何も言わずに離れていってしまったということ自体に少しだけ不満げな表情を浮かべたナミだったが、いなくなってしまった人間のことをグチグチと考えても仕方がないのも事実。またウェイバーを操縦することに集中を始めた。
風を切り、海を自在に滑るウェイバーにはそれに乗れる人間にしか味わえない爽快感があるのだろう。
僅かな時間が経つ間もなく、ナミの表情はまた楽しそうなソレへと戻る。
時折跳ねる水しぶきすらも楽しみながら徐々に陸地から遠のいていく彼女だったが、その彼女の視線が、とある一点でとまった。ウェイバー進路直進方向の海面に小さな影があることに気付いたからだ。
「……なに?」
空に何かが浮かんでいるわけではない。となるともちろんそれは海中にあるナニカということだが、それはナミからしても脅威を感じるほどの大きさではない。ウェイバーを操っていることに影響もなく、海面に影響を与えるようなナニカというわけでもない。
「……?」
気にせずに突っ切ってしまおうと考えたナミが影からわずかに外れて通り過ぎようとしたその時――
「――だああああああああああ!」
「きゃああああああああ!」
盛大な水しぶきとともにナニカが海上へと出現した。ナニカが発するその大音量といきなりすぎる出現に、ナミもまたその大音量に負けないぐらいの悲鳴をあげる。よほど驚いたらしいナミは波の予測にも乱れを生じさせてしまい、その結果。
「あっ」
ウェイバーから弾き飛ばされて空中へと放り出されることになってしまった。ウェイバーが結構な速度を出していたため、その勢いのままに海面に叩き付けられることになっては下手をすれば怪我を負うことになるかもしれない。
とはいえナミにそれらを回避する手段があるわけもなく、自分の身に何が起こったのかわからないまま目を閉じて衝撃に備えた。
が。
彼女に襲い掛かってきたのは衝撃というよりもどこか柔らかい感触、それと「ごめん、ちょっとふざけすぎた」という聞き覚えのある優しい声だった。
「……ハント?」
ナミがよく知っている声だ。目を開けるまでもなく耳元で聞いただけでその声の持ち主を判別することは難しいことではない。慌てて目を開ければやはりそこにはハントがいて、左手でウェイバーを支え、右腕でナミを己の胸へと抱えている彼の姿が映った。
「一応聞くけど……今のはアンタが?」
いきなり海中から現れて自分を驚かしてくれたナニカはハントだ
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