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軍楽
6部分:第六章
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「そしてその心も受けた」
「私達の心もですか」
「ああ。それも全て捧げる」
 目も心もそのまま靖国に向けられたままであった。
「だからだ。今こそな」
「では。御願いします」
「英霊の為に」
 まずは英霊達のことが言葉に出された。
「そして」
「日本の為に」
「何があっても。俺は作る」
 怪我を負ってはいてもそれでも。心は折れてはいなかった。
「日本の為にな」
「是非共」
 二人の言葉を受けて今靖国の英霊達に己の曲を捧げに向かうのだった。戦いは今絶望的になろうとしていて日本の敗北が確実になっていたその時の話だ。
 この時からもうかなりの時が経った。もう森宮はこの世におらず彼と同じ時代に生きた者達も殆どが世を去ってしまっている。
 靖国神社についても今様々なことを言う者達がいる。そうした者達の真意についてもまた色々と言われている。だが森宮が彼等に捧げた歌は今も残っている。その心、日本という国家そのものにさえ捧げたその歌は残り続けている。このことだけは否定できない事実であり今ここに書き残しておくこととする。彼の心と共に。


軍楽   完


                 2009・1・25

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