第4部 誓約の水精霊
第6章 アンドバリの指輪
[2/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ルケにことの次第を説明した。
惚れ薬の解除薬を作るためには、水の精霊の涙が必要なこと。
それをもらう代わりに、襲撃者退治を頼まれたこと……。
「なるほど。そういうわけであなたたちは水の精霊を守ってたわけなのね!」
キュルケは困ったように、隣のタバサを見つめる。
彼女は無表情に、たき火の炎をじっと見つめていた。
「参っちゃったわねー。あなたたちとやりあうわけにもいかないし、水の精霊を退治しないとタバサの立つ瀬はないし……」
「どうして退治する」
ウルキオラにそう尋ねられて、キュルケは困ってしまった。
まさか、本当の事情を話すわけにもいかない。
「そ、その、タバサのご実家に頼まれたのよ。ほら、水の精霊のせいで、水かさがあがってるじゃない?おかげでタバサのご実家の領地が被害にあっているらしい。それで私たちが退治を頼まれたってわけ」
「なるほどな」
そうなると、キュルケ達も手ぶらで帰るわけにもいかんだろう。
さて、どうしたものか。
ウルキオラはしばらく考え込んで、結論を出した。
「なら、水の精霊に水かさを増やすのをやめるよう頼んでみるか」
「水の精霊が、聞く耳なんて持つかしら」
「人間の声には耳はかさんだろうが、人ならざる者である俺の声なら聞く」
「人ならざる者?あなたが?どういうこと?」
キュルケは怪訝な声で尋ねた。
「モンモンに聞け」
ウルキオラはタバサの方を見た。
「水浸しになった土地が、元に戻ればいいのだろう?」
タバサは頷いた。
「決まりだ。朝になったら尋ねるとしよう」
そして、朝……。
モンモランシーは昨日と同じように、カエルを水に離して水の精霊を呼んだ。
朝靄の中、水面が盛り上がり水の精霊が姿を現した。
「水の精霊よ。もうあなたを襲うものはいなくなったわ。約束通り、あなたの一部を頂戴」
モンモランシーがそう言うと、水の精霊は細かく震えた。
ぴっ、と水滴のように、その体の一部が弾け、一行の元へと飛んできた。
うわ!うわわ!と叫んで、ギーシュが持っていた瓶でそれを受け止めた。
すると、水の精霊はごぽごぽと再び水底に戻って行こうとしたので、ウルキオラが呼び止めた。
「待て」
水の精霊は、再び水面に盛り上がり、ぐねぐねと動き始め、昨日と同じようにモンモランシーの姿になった。
あらためて見ると恥ずかしいわね、とモンモランシーが呟く。
「なんだ?人ならざる者よ」
「何故水かさを増やす?」
水の精霊は、ゆっくりと大きくなった。
「お前を信じてよいものか、我は悩む。だが、お前は我と同じ人ならざる者。それに、我との約束も守ってく
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ