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101番目の舶ィ語
第八話。ジェヴォーダンの獣
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その姿……」

リサの姿をよく見ると人間の姿から獣の姿へと変貌していた。
いや、正確にはまだ完全には獣になっていないが人間と狼の中間のような『獣人』と呼ばれる姿をしていた。リサの腕は白い獣の腕へと変貌していき、メキメキと膨れ上って、どんな図鑑にも載ってないような大型獣のものへと変化しようとしていた。
その姿はまさに______。

「……ジェヴォーダンの……獣……!」

『ジェヴォーダンの獣』。
人狼(ウェアウルフ)』と似た怪物。

それは______?狼(ルウガル)、人狼、狼男………日本語訳はいろいろあるが、ようは吸血鬼のライバルとして多くの物語に出てくる伝説の獣だ。
あらゆる動物を従わせる能力のある、百獣の王。
18世紀、西ヨーロッパに現れて、村や町を荒らしまわったとされる有名な都市伝説の一つだ。
日本に住んでいても狼男の話を知らない人はいないだろう。
そのくらい有名で強力な都市伝説の怪物だ。

「……厄介だね」

厄介な都市伝説と遭遇してしまった。
かつて、眷属(グレナダ)のカツェ、イヴィリタ長官、パトラ達がリサの事を『眷属最強』と言っていた。
最初聞いた時は何かの間違いじゃないのかと思ったが間違いではなかったというのが後になって解った。
リサは普段は大人しく、人畜無害だがある条件を満たすと、たちまち暴れまわって辺り一面を壊滅しちゃう困った体質を抱えているメイドさんだ。

「さあ、リサさん。
このお兄さんと遊んであげて!
なんなら食べちゃってもいいよ」

「止めるんだリサ。俺は知ってるよ、君はそんな事を望んでいない。
人を傷つけるより、メイドの仕事をしている方が好きなんだって事を」

詞乃ちゃんがリサに指示を出したので俺がそれを遮るように言うとリサは驚いたような顔をして俺の顔をじっと見つめると何やら考え込み「もしかして(je bedoelt)貴方(Bent)(u) リサの(van Lisa)勇者、様(een held)……?」とオランダ語で呟いた。

「え? 何、何?」

詞乃ちゃんが初めて戸惑ったような声を出した。

「ま、まさか……ご主人……様?」

今度は日本語でリサは呟いた。

「ああ、そうだよ。久しぶりだね、リサ。
こんなところで君に会えるなんてまさに奇跡だね」

俺が肯定して微笑みかけながらそう答えると。

「ご主人様!」

だきっ! リサに飛びつかれて、抱きつかれた。
変身の途中だったのか、リサの細腕は今や太く膨張していて、身体中にはモッサモッサのモフモフの金毛が生えてきている。

「2人は知り合いなの?
とーっても興味深いなぁ」

「はい、私が探していたご主人様です。
姿形は違いますけど間違い
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