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101番目の舶ィ語
第七話。常闇からの襲撃者
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あれ、女性だと傷つけるのを躊躇ってしまう。
女を守りたいと思うのが今の俺だからね。
とはいえ……音央と約束したしな。
彼女を守るって。
音央を庇うように、彼女と音央の間に俺は体を滑りこませて立った。
俺の目の前には無表情なその顔で俺を睨みつけているミーちゃんと、何事もなかったかのようにゆっくり立ち上がるタッくんの姿がある。
さっきまでの楽しそうな姿は一変し、その姿はまるでゾンビやアンデッドみたいな感じを連想させる。

「モンジ、どういう事??」

「多分、さっきのノイズ音が合図か何かだったんだろうね」

音央の足元を見ると、そこには床に転がっているラジオがあった。
さっきミーちゃんに投げつけられてキャッチしたあのラジオだ。
何故足元にあるのかは想像だが、キャチ後に床に置いたものがふざけあっているうちに転がったんだろうな。きっと……。
そして……あのノイズ音は、おそらくこのラジオから聞こえてきたんだろう。
詞乃ちゃんが言っていた話を思い出す。

______テレビは無理だけど、ラジオなら聞ける。

確か……そんな話をしていたね、彼女は。

「音央、ちょっとそのラジオ拾っておいてくれっ」

「え、あ、解った!」

音央がラジオを抱えるのと同時にタッくんとミーちゃんが俺に襲いかかってきた。
刃物を持っているとはいえ、相手は素人。それも子供だ。
だから正面から見ていれば、その動きは読める。
まずは俺に向かって包丁を突き刺してきたミーちゃんを避け、突き出された手に手刀を入れて手から包丁を叩き落とした。
包丁はよく研いであったのか、床に突き刺さった。
そしてミーちゃんの体を引っ張り、向かってきたタッくんの方にその体をつき飛ばした。
たったそれだけの動きでもつれあって倒れる2人の子供。
暗闇から襲ってきた幼い襲撃者達は仲良く畳の上で寝転んでいる。

「ま、こんなもんかな」

2人が倒れたのを確認して、床に突き刺さったままの2人が持っていた包丁を引き抜き、両手にそれぞれの包丁を握り締めた。

「持っきたわよっ、て、怖っ!」

音央の方を振り向くとドン引きされた。
床に倒れた子供と手に包丁を持った男。
……側から見たらかなりヤバイ人だよな。

「大丈夫だよ、俺は何もしてないって!
あの子達から取り上げただけだって」

ちょっと強く力を入れ過ぎたのか、2人は倒れた後、ピクリとも動かないけどね。
……大丈夫、だよ。多分……。

「殺しちゃったの?」

「いや、ぶつけて倒しただけだよ」

「だって、あれ……」

音央が右手人差し指を子供達に向ける。
その指先が示している方を見ると、じわあ、と2人の体から赤いものが流れはじめていた。
あれは……血だ。
タッくんやミー
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