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101番目の舶ィ語
第七話。常闇からの襲撃者
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撃者の姿を確認した。

「え、タッくん??」

音央の驚いた叫び声が辺りに響いた。
彼女の視線の先、Dフォンの赤い光に、ぼんやりと照らし出されているのは、さっきまで遊んでいた少年『タッくん』の姿が見える。
見えるのは確かに『タッくん』だが……。

「ヒッ!」

音央が小さく悲鳴を上げたが無理はない。
彼の目……眼球が、まるで闇色の飴玉のように真っ黒だからだ。
さっきまでの快活そうな表情はなくなっており、今はただ無表情に俺の右手の人差し指と中指の間に包丁を突き立てている。
……白羽取りができなければ、俺はこの包丁で刺されていただろう。

「っと、タッくん、どういうつもりだ」

ニ指で受け止めた切っ先が俺の腹に向けて迫ろうとしていた。
子供の力とは思えないほどの、強い力だ。
強い力だが今の俺なら対抗出来ないほどではない。
しかし、普通の人間だったら押し返すことすら出来ずに刺されていただろう。
まあ、この言い方だと自分で自分を普通じゃないと言っているみたいで嫌だが、対抗出来ているのは事実だ。
ハーフロアとして覚醒したおかげか、或いはヒステリアモードを発動した今の俺だからこそ対抗出来ているのかは解らんが。

「……仕方ないか」

本当は子供相手に手荒な真似はしたくなかったが……。
そう思いながら行動に移る。
ニ指で包丁を受け止めながら彼に近づき包丁を握るその手を右足で下から蹴飛ばした。
そして包丁を手放せてからの足払いをちょっと強めにかけた。
彼の軽い体はいとも簡単に畳の上に転んだ。
倒れた彼はその場からピクリとも動かなくなった。

______昔、強襲科(アサルト)で習った護身術だが、子供相手にやり過ぎたか?

少し心配になったが、そんな心配する間もなかった。

「っ??」

冷や汗を拭う間もなかった。
その気配に気づいた俺は音央の方に転がり込みながら畳の上に転がるDフォンを拾う。
まさに______その時。
ヒュン! と俺が今までいた場所を包丁が通り過ぎた。

「ミーちゃんまで……!」

俺は直接その姿を見ていないが、音央の呟きで俺が今までいた場所にその子がいる事を知る。
やっぱり、そうなるだろうな。
タッくんが襲ってきた時点でこうなる予感はしていた。
前世で強襲科(アサルト)の授業で蘭豹から訓練という名の体罰を受けてなかったら躱せなかったかもな。
まあ、ヒステリアモードの今なら習わなくても余裕で躱せたとは思うが、通常時の俺だったらかなり危なかったな。まさか、こんな子供達が襲ってくるなんて普通は思わないからな。
それはともかく……。

「襲ってきている相手とはいえ……女性……それも子供相手に危害は加えたくないな」

ヒステリアモードの俺は相手が誰で
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