第6話 胸糞悪い現実と夢
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さて、いま俺の前には大量の書物が置かれている。
何故か? それは今から少し遡る。
「いやー今日はサボり日和だなー。こういう日は兼続を煽るに限るなー」
廊下を歩きながら俺は兼続の元へ向かっていた。その途中で天井からある気配を感じた。
別に敵ではない。いつも感じている気配だ。立ち止まり、しばらくしたら天井から何者かが降りてきた。
「やあやあ、軍師さん。今日はサボり日和だねぇ」
悪戯っ子のような笑みを浮かべながら段臓殿が俺に近寄ってくる。
俺もいたずらっ子のような笑みで段臓殿に挨拶をする。やっている事は子供っぽいかもしれないが、それは仕方のない事だろう。
「これはこれは、盗み聞きの達人の段臓殿ではないか」
「いきなり酷いなー?」
「すまんね。屑な性格で」
「いいよいいよ。その代り、ちょっと変わってもらいたい仕事――「ヤダ」……」
「まだ最後まで言ってないよ?」
「いいか? 段臓殿。俺が言うのはなんだが……『人』という字がある。これは人が支え合っているとよく聞くだろう? だが、俺はこう思う。1画目の奴が2画目の奴に寄りかかって楽をして、2画目しか苦労していないんじゃってな……。俺の言いたい事が分かるか?」
まあ、要するに俺が苦労しているのに他の奴が楽しているって事に納得がいかないだけだ。
だってそうじゃない? いつもいつも他人に面倒な事は押し付けて自分たちは楽して女と遊んだりしてさ。
絶対未来では祭典とかで誰かに仕事押し付けて、自分らだけ楽をしようとする奴らがいるって!
そして、成功しなかったら自分らの事棚に上げて怒るんだ!
「軍師さんって捻くれた性格してるよね……」
「最高の褒め言葉だ。どんどん言ってくれたまえ」
「でも、いいのかな〜? 口を滑らせて兼続殿に言っちゃうかもな〜? 『こういう日は兼続を煽るに限るなー』って」
「汚い奴だな。流石忍者、汚い」
「ふーんだ。忍者は皆汚いもーん」
こいつ……言ってやったぜって顔しやがってよ……。
今に見てろよ。雌犬の如く泣くように可愛がってやる。
「いいだろう、変わってやるよ。その代り払うもん払えよ。終わったら法外な額を吹っかけてやるよ」
「あたしお金ないもーん」
「じゃあ体で払え」
「とにかくお願いねー!」
何処からともなく大量の書物を取り出して俺の手に乗せる。この量をどこにしまっていたんだよ……。問いただそうとすぐに段臓殿に向き直るが、既にその姿は消えていた。
こういう時は仕事早いよな。それをもっと別の事に活かせよ。てか思ったんだけど忍の仕事なんて分かるわけないやん。俺はただの軍師だぞ?
――――――
そんな訳で俺は余計な仕事までやる羽目になったのだ。
絶対俺に押し付ける気満々だったな。
「あ〜めん
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