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アセイミナイフ -びっくり!転生したら私の奥義は乗用車!?-
第19話「Uへの道/奥義と恐怖と謎の男」
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う。

―――運がいいね、私。ありがとうおじいちゃん。

「グオオオオオオオァァァァァァァァ!!」

すぐに天を突き穿つような絶叫が上がった。

それは断末魔のように聞こえ、だがそれでもなお走る足を止めることは出来なかった。



―――4時間後。

夜が白む頃、イダたちはようやく走ることをやめた。

休みながら、長い距離を走り続ける。戦いに使う道具以外は全て置いてきてしまった。

それでも、あの化物に追いつかれるよりはマシだ。

死んだのかもしれない、生きているのかもしれない。

なら、可能性は悪い方に考えるべきだ。イダはそう思いながら足を動かす。

隠れる場所のない草原。黒月は既に地平に消え去り、蒼月が優しく大地を照らす。

その時間も、後四半刻もしないうちに終わるはずだ。

「こ…ここまで…くれば…だ、大丈夫…かな…」

ストランディンが息絶え絶えにそう漏らす。

「…たっ…たっ…多分…あの『戦車』の爆…発で…死んだと思う…!」

フェーブルがストランディンにそう答え、地面にへたり込んだ。

「ヒュー…ヒュー…もうらめえ…死ぬぅ…」

普段の理知的な印象に似合わない言葉を出しながら。

「だっ…大丈夫…ッ…ぐはっ!」

「にゃあ!?イダが倒れたし!?」

…イダも限界が来ていたのだろう。同じように地面にへたり込んでしまう。

森の戦士として、或いは冒険者として鍛えられたグウェン、リック、シドとは

比べるまでもなくイダの体力はまだ普通の少女に*****ブートキャンプ

数十回分を加えた程度である。

倒れこんだ彼女は、そのまま草むらに仰向けに横たわった。

「…疲れた…りんご食べたい…」

呆然と呟いたその言葉は、虚空に消えて行く。

しまった、と思う間もなく…

ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロ!

「にゃあああ!?なんじゃこりゃあああ…!!」

グウェンの叫びはもっとなもの。

イダの言葉に反応したかのように、宙空からズタ袋が現れ、そこからりんごが

それこそ滝のように溢れでてくる。

「ちょ…ちょっと待てイダ!止めろ!どれだけ出す気だ、お前!!」

慌ててリックが叫ぶが、イダはもう聞いてはいなかった。

「ごすぅ…すぅ…」「くひゅふぅ…すぅ…」

目をつむり仰向けになり、そして先に倒れていたフェーブルとともに、

気持ちのよさそうな寝息を立てながら寝てしまう。

…それが止まったのは、眠りに落ちた彼女の意識が最も深い極地まで達して後、約100分。

つまり、イダがノンレム睡眠からレム睡眠に入った時であった。

「…どうするんでしょうねえ、これ」

「さあ…私、しーらない」


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