第七幕その四
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「もう充分過ぎるよ」
「そう言うんだ」
「そう、だからね」
「京都のお料理はだね」
「いいよ」
これが先生の返事でした。
「別にね」
「そうだね、じゃあいいね」
「うん、京都のお料理はね」
「じゃあまた京都に行っても」
「別にいいよ、前も美味しいものは一杯食べたけれど」
「京都の料亭、物凄くレベルの高いところには行ってないね」
「そう、そしてこれからもね」
先生は穏やかな笑顔のまま話します。
「自分から進んでは行かないよ」
「そう言えばそれが先生らしいね」
「僕らしいかな」
「飾らないし無理をしないからね」
自然体が先生です、だから背伸びすることもしないのです。
「そういう人だからね」
「高い店にも行かないっていうんだね」
「言われてみればそうだよ」
「この大学の食堂のお料理はどれも凄く美味しいよね」
「そうですね、凄いですよね」
トミーもその美味しさをいつも楽しんでいるので言うのでした。
「物凄く美味しいですよね、この大学の食堂は」
「そうだね、だからね」
それで、というのです。
「僕は周りの食事で充分だよ、あと大阪だね」
「大阪は食べもの安いよね」
「あのたこ焼きやお好み焼きは最高だよ」
「ああ、あの二つだね」
「おうどんもいいし串カツもね」
「先生えらく大阪が気に入ったんだね」
「あそこはまさにね」
それこそというのです。
「地上の楽園だよ」
「それは幾ら何でも言い過ぎじゃないかな」
「僕もそう思いますよ」
王子とトミーは大阪を絶賛する先生に笑って返しました。
「確かにいいところだけれどね、大阪は」
「物凄く親しみやすい街ですけれど」
「幾ら何でもね」
「地上の楽園は」
「いやいや、あそこまで人間味があってしかも食べものがどれも安くて美味しい街はないよ」
先生は二人に笑みを返して言うのでした。
「だから本当にね」
「大阪は地上の楽園なんだ」
「先生はそう仰るんですね」
「そうだよ、あんな街は他にないよ」
「確かに独特だからね、大阪も」
「あんな街は他にないですね」
二人もそう言われればという調子で返しました。
「いい街であることは確かだね」
「それもかなりね」
「そのことは間違いないね」
「いい街ではあるよ」
「それは先生と同じ考えです、僕達も」
「うん、だから僕は言うんだよ」
先生はお茶を飲みながら笑顔でお話するのでした。
「大阪は地上の楽園だとね」
「人情があって美味しいから」
「それでなんですね」
「今度大阪城に行こうかな」
大阪城は大阪の象徴の一つです、そしてイギリス人の先生から見れば。
「日本のあの独特なタイプのお城の勉強も兼ねてね」
「そういえば日本のお城ってユニークですよね」
トミ
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