第31話 漏れるものなのね
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はベレッタ家男爵として家紋の蝋封をした手紙だ。
「へー、ティファンヌの父親が正式に手紙を出してくるって、結構な堅物だったんだねぇ」
「一面では、そうかもしれないが、結果の責任としては私にあるかもしれないからなぁ」
「親父が? なんで?」
「実は、ティファンヌ嬢は10月中旬の頃に、血が白くなっていく種類の病にかかったことが判明してな」
前世でいう白血病か。正式名称は忘れたが、そんなに早くわかるものかと思い
「たしか、最後にティファンヌにあったのが10月初旬だから、よくそんな早くにわかったね」
「まあ、そう言うな。お前とティファンヌ嬢の間に夜の営みがなかったか、医師に診てもらった時に、そっちは問題なかったが、血の方になにか問題があるということで発覚したそうだ」
「それで?」
「何か所かあたったらしいが、つてがなくて私をたよってきてな」
「何のつて?」
「水の秘薬を入手するつてだ」
「そういえば、わずかに入手できている分は、すべて国が買い上げていたみたいだけど、もしかしてそれで水系統の関係ということでモット伯爵との仲介をしたとか?」
「結果としてはそうだの。モンモランシ伯爵家とモット伯爵家への紹介状を用意した。結果として普段王宮にいるモット伯爵を頼っていったようだが、ベレッタ男爵がティファンヌ嬢を一緒につれて、水の秘薬を分けてもらえるように頼みに行った時に、そこにたまたまそこの4男がいて、一目ぼれしたとかで、それで水の秘薬を渡すのは結婚を条件とされてしまったそうだ」
ティファンヌに一目ぼれね。そこまで美人とか、ものすごく可愛いとかまではいかないと思うんだけど、『蓼食う虫も好き好き』という前世で聞いた言葉を思い出していた。
「その手紙は、夕食の後でも読むよ」
「お前がそれでよかったらな」
「血が白くなっていく種類の病って言ったら、生死がかかっているんだから、仕方がないと俺も思うよ。それよりも普段の夕食の時刻を過ぎているよ。夕食にしない?」
そう言って、夕食は親父と戦争中のことをお互いに話しながら過ごしてから、ワインを1本部屋に持ち込んで、まずはティファンヌの方の手紙を見た。書いてあったのはほんのわずか。
『ジャックへ
この手紙を読んでいるころにはケルシー夫人となっていると思います。
だから、もう会わないようにします。
さようなら。
ティファンヌ・ベレッタより』
この短い中の文書で『さようなら』か。ティファンヌの性格だから、パーティで会ったとしても、夫を介しての交流までしかもたない気でいるのだろう。
それとベレッタ男爵からの手紙では、謝るにしても美辞麗句をならべているのは面倒だとして、手紙をティファンヌがやめたのは、
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