暁 〜小説投稿サイト〜
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SAO編−白百合の刃−
SAO21-黒髪の少女
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ないかと思いつつ、黒色のマグカップに入った飴色の紅茶を口に入れる。ふと窓を見て思ったことを口に出した。

「……そう言えば、隣にもログハウスあったよね?」
「あるわね」
「せっかくだから、挨拶しにいかない?」
「隣に人はいないわよ。それに、なんで挨拶しに行こうとするのよ?」
「う〜ん…………引っ越したての新婚っぽいことをしてみたいかな?」
「結婚してないじゃない」
「ぽいことだよ。今日からお引っ越ししました、キリカとドウセツと申しますってね」
「結婚関係ないわね」
「関係なくはないよ」
「どうだか、よく知らないわ。変態じゃないし」
「おい、私を変態扱いするな」

 ドウセツとの他愛のない話が、なんだか幸せに感じる。紅茶も一味美味しさが増したように引き立っているような気がした。
 こんな生活が一生続けばいいと思う。自然いっぱいなエリアで嫌なことを忘れて楽しく過ごして生きていたい。何気ないことが幸せだと思うことは楽しくて嬉しいことだ。

 でも、それでは駄目なんだよね……。

 今いる場所は幸せだけど、私の居場所ではない。
 私には帰る場所があるし、やるべきことがある。そこが私の居場所で幸せで思いたいところだ。
 それに、現実世界で迷惑かけた人に恩返しをしなくちゃいけないし、謝る人も感謝する人もいる。

 だから、今、この時間は休暇を楽しむとしよう。将来、楽しく嬉しく語れるような思い出のエピソードとして。

「……なに笑っているの?」

 どうやら私は笑っていたようだ。

「いや……ドウセツとの暮らしが楽しいからかな?」
「よくそんな堂々と言えるわね……」

 冷静に返すけど、頬が若干赤く染まりながらプイッと顔を背けた。それがまた可愛い。

「あれ?」
「珍しいわね……」

 ノック音の変わりにつけた、風鈴の音色が部屋に鳴り響いたのだ。

「お客様……だよね?」

 元々この家はドウセツの家だから、知り合いでも来たのかとドウセツに目で伝える。

「誰にも教えてないわよ……」

 しかし、ドウセツの言葉とは裏腹に先ほど鳴ったものは来客を示すものだった。つまり、ここに私達がいることを向こうはわかっている。

「え、まぁ……ともかく、私が出てみるね」

 圏内だから強奪とかはないんだと思いつつ、相手を確かめるべく、玄関のドアに近づき押し開いた。

「あ、どうも。今日から近くに引っ越した者です。いろいろとご迷惑をかけますが、よろしくお願い致します」
「あ、これはどうもどうも、私も今日からここで暮らす者です。こちらこそ、よろしくお願い致します」

 ペコッとお互いに頭を下げ、礼儀正しく挨拶をする。なるほど引っ越した者だったのか。
 凛とした声に、栗色の長いストレー
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