ゲーム、スタート〜
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共に鏡が砕け散る。・・・そうだ。確かナーヴギアは顔全面を覆っていた・・・つまり、脳からの信号だけでなく、顔の形まで把握できる・・・
「しかも・・・」
初起動の際に、ナーヴギア側からの登録作業で体のあちこちを触った覚えがある。あれを利用すれば体の可動範囲をナーヴギアに記録させデータ化させる事も可能になる。現に周りのプレイヤーは顔だけでなく、体格や背丈、終いには性別まで変わっている者もいた。
『諸君はなぜ、と思っているだろう。なぜ私はーーSAO及びナーヴギア開発者の茅場晶彦はこんなことをしたのか?これは大規模なテロなのか?あるいは身代金目的の誘拐事件なのか?と』
・・・わかってる。ここまでしといてそんな容易く考え付く答えではない位・・・
『私の目的はそのどちらでもない。それどころか、今の私は、すでに一切の目的も、理由も持たない。なぜなら・・・この状況こそが、私にとっての最終的な目的だからだ。この世界を創り出し、鑑賞するためにのみ私はナーヴギアを、SAOを造った。そして今、全ては達成せしめられた』
何処と無く籠っていた感情が消え、茅場は再び無機質な声で喋る。
『・・・以上でソードアート・オンライン正式サービスのチュートリアルを終了する。プレイヤー諸君のーーー健闘を祈る』
その言葉と共に茅場は消えていき・・・ゲームに付き物のBGMが聞こえてきた時、全てのプレイヤーが事態を理解した。
「嘘だろ・・・なんだよこれ、嘘だろ!」
「ふざけるなよ!出せ!ここから出せよ!」
「こんなの困る!このあと約束があるのよ!」
「嫌ああ!帰して!帰してよおおお!」
耳を塞ぎたくなるような叫びを出せる程の絶望。だが俺は未だその事実を夢のように感じていた。・・・そしてしばらくすると、何人かが人混みを避けて街の出入口に向かうのが見えた。この状況で真っ先に外へ向かうものは、このゲームのことを知っている・・・即ちベータテスト参加者だと言うことがわかった。・・・どうする。彼等を追えば確実に他のプレイヤーより早めにスタートを切れる。けど・・・
「やだ・・・嘘よ・・・」
「お姉ちゃん、しっかりして!お姉ちゃん!」
・・・多分、人が一斉に動き出したらこういった人物は人波に呑まれ、離ればなれになってしまうかもしれない。・・・こんな時程、自分のお人好しな性格が嫌になったことはなかった。
「・・・すみません!そこで立ち止まっていると危ないですよ!」
「け、けどお姉ちゃんが・・・」
栗色の髪の少女がうずくまっているもう一人の少女を見る。
「無理矢理にでも腕を引っ張って宿屋か何処かに向かってください。・・・早く!」
「は、はい!」
少女は無理矢理姉と思わしき人物を引っ張って行く。
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