ゲーム、スタート〜
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プレイヤーを殺す、と宣言したのだ。そして俺は思い出す。兄が言っていた事を。ナーヴギアの重さの三割がバッテリセルだと。その気になれば脳内電子レンジになるなと俺は前に笑ったが・・・洒落にならないことを理解すると、昔の自分を殴り倒したくなった。
『ーーー警告を無視してナーヴギアのーー』
しばらく呆けていた間に茅場の話は続いていた。
『ーーー残念ながら、既に二百十三名のプレイヤーが、アインクラッド及び現実世界からも永久退場している』
どこからか悲鳴が聞こえた。・・・俺が無事、という事は兄も無事である確率は高いだろう。
『諸君が、向こう側に置いてきた肉体を心配する必要はないーーー』
茅場の声は既に頭に入らなくなっていた。だが再び、茅場の一言が俺に衝撃を与えた。
『・・・今後、ゲームにおいて、あらゆる蘇生手段は機能しない。ヒットポイントがゼロになった瞬間、諸君のアバターは永久に消滅し、同時に』
俺は嫌な予感を振り払おうとしたが、すぐに茅場の声がそれを遮る。
『諸君らの脳は、ナーヴギアによって破壊される』
「ーーーーー!!」
俺は左上に表示されているただ三國志が好きだから、という理由でコウハと名付けたPCネームの上にあるHP(ヒットポイント)バーを見る。この数字が俺の命で・・・
「体力がゼロになれば・・・死ぬ・・・!?」
茅場が淡々と百層までクリアすれば全員解放するだの言っているが、俺の思考回路は既にオーバーヒート寸前だった。事実だと思う一方でゲームの演出か何かだと考え・・・
『それでは、最後に諸君にとってこの世界が唯一の現実である証拠を見せよう。諸君のアイテムストレージに、私からのプレゼントが用意してある。確認してくれたまえ』
俺は言われるままにメインメニューを開き、アイテム欄を確認する。・・・そこに表示されたリストの一番上にそれはあった。
「・・・手鏡?」
俺は戸惑いながらアイテム名タップし、浮き上がった小ウィンドウからオブジェクト化のボタンを選択する。すると効果音と共にただの装飾もない手鏡が現れる。それを覗き見ると俺が設定したアバターの顔が映るだけだった。・・・その瞬間、
「わ・・・っ!?」
突然白い光に包まれ、少しして視界が晴れた時・・・違和感を感じた。
「え・・・」
そして気付いた。周りにいた全てのプレイヤーの・・・背丈や顔が一気に変わっていた。
「あ・・・!」
俺も慌てて手鏡を見る。・・・そこには、兄や妹と三人でいないと兄妹と分からない程どちらにも似てない顔。手なんか加えた事のない黒髪。・・・“コウハ”の顔ではなく、リアルの・・・“亮”の顔がそこにあった。
「な、な・・・」
手から鏡を落とし、破砕音と
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