暁 〜小説投稿サイト〜
真似と開閉と世界旅行
ゲーム、スタート〜
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だ。ナーヴギアによる接続は、完全(フル)ダイブと呼ばれ、多くのプレイヤーが感動した事だろう。ただ、最初の頃は微妙過ぎるソフトばかりで、俺はナーヴギアは持っていたが、棚で誇りを被っていた。その時に兄がこのソードアート・オンラインのベータテストに当選したと聞いたのだ。

「(最初は興味なかったけど・・・)」

毎日兄がウキウキしながら話す内容に段々と俺もその仮想世界に惹かれ、学校をサボってまで数日間ゲームショップに並び・・・初回ロット僅か一万であるそのゲームを手に入れることが出来たのだ。俺は兄のように機械に精通している訳でもなく、妹のように剣道に打ち込んでいる訳でもない。そんな中途半端な俺がやってみたいと思ったこのゲーム・・・これで中途半端な自分と別れられると感じたのだ。だからこそ、この世界で強くなる。そして兄妹の度肝を抜いてやると意気込んでいたのだ。

『これは、ゲームであっても遊びではない』

それがこのゲームの開発ディレクター茅場 晶彦の言葉。茅場 晶彦については兄から、弱小ゲーム会社のアーガスを急成長させた男・・・位しか聞いてない。だが、その男が偉大であるのは自分でも分かる。



「・・・」

俺はカトラスを見る。そう、このゲームに魔法の類いは存在しない。戦闘で頼りになるのはセンスと・・・

「・・・はっ!」

ビュンッ!

剣技(ソードスキル)だけだ。しかもスキルは多々あり、鍛冶系や製造系、果ては料理とか釣りとか日常的なスキルもあるらしい。金さえあれば武器も防具も、家だって買えるし。昔流行った某狩りゲーがパワーアップしたようなものだ。・・・先程言ったが、兄が当選した稼働試験・・・ベータテストは、僅か千人のみが選ばれ、更に正式版の優先購入権まであると特しかないものだった。しかもその兄はベータテスト中暇さえあればダイブしていて、学校位でしか話す機会がないという・・・まさに筋金入りのゲーマーだったのだ。そして二〇二二年十一月六日の日曜日。正式サービスが開始。俺はわくわくしながら数十分も前からスタンバイし、この世界を見て感動した。俺ははやる気持ちを抑え、マニュアルを見て、やり方をしっかり学んでからフィールドに出て・・・今に至る。

「・・・そろそろ一回落ちて飯食べようかな・・・」


視界の端に表示されている時刻は午後五時ちょいを記していた。

「メニューメニュー・・・っと」

右手の人差し指と中指を揃え、一度掲げてから真っ直ぐ振り下ろす。この世界でプレイヤーが許される魔法かもしれないメニューを呼び出すアクション。すぐに鈴が鳴るような音と共に紫色の半透明な板が出てくる。


「えーっと・・・あれ?」

思わず声が出る。何故なら・・・“ログアウトボタンがなかった”から。

「・・・バグ?」
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