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101番目の舶ィ語
第六話。リサ・アヴェ・デュ・アンクと二人の子供
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じっとしていた。
時計を見ると______時刻は、もう午前零時になろうとしていた。


「ああ、そろそろ寝る時間なのかな?」

「あ、うん。そうなんだけど……」

「ん?」

先ほどまでの元気な姿から一転し、タッくんは歯切れがわるそうにしていた。

「うー……」

見ると、ミーちゃんも何か言いたげな様子で音央にしがみついている。

「ま、しかたないよな」

「うん、そうだね」

タッくんがそう呟くと、ミーちゃんも渋々音央から離れる。

「そろそろ帰らないといけない時間なのね」

どこか寂しそうに音央がそう言うと。

「音央ちゃん」

「ん?」

ミーちゃんが音央の手をぎゅっと、一度強く握った。
そして……。

「食べられないでね?」

そんな不吉な言葉を呟いた。

「……え?」

「コラッ! いくぞ??」

ミーちゃんの言葉を叱るように、タッくんが声を荒げた。

「じゃあな、モンジ!」

「コラ。モンジお兄さん、だ!」

「わははは、じゃあ、生きてたらまたな!」

「……は?」

「だめ、なんでしょ」

ミーちゃんがタッくんに何やら注意している。
何やら良いあった後、タッくんはミーちゃんの手を引いて、部屋を出ていった。
2人が去っていく後ろ姿を見ながら音央が呟いた。

「食べられないで……って?」

音央はミーちゃんに握られていた手を見つめた後で俺を見た。

「あんたにかしら?」

「ははっ、流石にこんな時にそういうことはしないよ。
そんな深い意味はないんじゃないかな?」

「……そうよねぇ」

そう言ったものの、なんでだろう。
騒ついた感覚がするな。
この、ぞわぞわするような落ち着かない気分には……。
覚えがあった。
『食べられる』と言えば……そう、キリカだ。
あの時に感じた、ヒリつくような恐怖がじわじわと胸に広がっている。
______どういう意味なのかは解らない。

……だけど、危険が迫っているという予感めいた感覚を俺は感じた。

「一之江と合流しておこう」

「う、うん、そうね」

音央も不安になっているようだ。
ミーちゃんとタッくんの言葉。
あれは「言っちゃいけない言葉を言っちゃた」みたいに思えた。
詞乃ちゃんや村人達との会話、そしてタッくんやミーちゃんの言葉。
遊んでいたから忘れかけていたが、ここは『8番目のセカイ』に載っている『人喰い村』なんだ。
警戒心を持っても損はないな。

「音央、それじゃ」

出るぞ、と言いかけた時だった。

フッ

と、いきなり部屋の明かりが消えて、真っ暗になった。

そして……。


ザザザザザザザザザザッ??


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