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101番目の舶ィ語
第六話。リサ・アヴェ・デュ・アンクと二人の子供
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ちゃんとおじいさんがそう返事をした。

「テレビとかは無理だけど、ラジオの電波だけは入るから。
この村の外がどんな感じなのかも解ったりするんだよ?」

テーブルの端にあった古いラジオを手元に持ってきながら詞乃ちゃんは言った。

「へえー、ラジオは入るのか」

電気が通っていて、ラジオも入る。川もあるから水には困らないし、農作物で食事も摂れる。
不便そう、と思っていたがそれなりに快適に暮らせるのかもしれないな。

「みんなそれぞれ助け合って生きてるのよね?」

詞乃ちゃんが誇らしげに胸を張ってそう語った。

______神隠しに遭い、村に閉じ込められた人々。
それがこうして逞しく生きている。

そんな事実を目の当たりにすると、なんだか安心できるね。

「この村に最初に来たのはどなたですか?」

「お客様、お話しはそのくらいにしてこちらのお菓子はいかがですか?」

「いえ。喉も渇いていませんし、ダイエット中ですのでお菓子もいりません」

「それでしたらこちらのお茶はいかがですか?
ダイエットに最適なカテキンが多く含まれていますし……」

「いえ、結構です」

「そうですか。失礼しました」

リサの得意な話術も一之江には通じなかったみたいでリサは俺達に一礼するとそそくさと部屋を出ていった。部屋を出る際に目が合ったがすぐに逸らされた。
やっぱりこの姿では気づかれないみたいだな。

「で、先ほどの質問ですが……どなたです?」

一之江が再度尋ねた。
一之江は先ほどからリサがお茶やお菓子を勧めても頑なにそれを拒み続けている。
この建物に辿り着くまで結構歩いたから喉が乾かないはずはないんだけどなあ。
それに一之江にはダイエットは必要ない気もするし。
スレンダーな身体付きだからダイエットしたらよけい無くなるんじゃ……と、なんだか背中が熱いな。
それに……ポケットとズボンのポケットに入れているDフォンから発熱しているみたいな熱を感じるな。
……何も思ってないですよ? 一之江様。

「うん、わたしかな?」

そんな俺の内心を他所に詞乃ちゃんは元気に返事をした。





2010年6月1日。午前11時30分。


それから村がどんな作りになっているか、村人がどこに住んでいるのかを説明して貰った。
話がひと段落した頃、ドアから見つめていた2人の子供……先ほどの男の子と女の子と遊ぶ事になった。
音央が面倒みると、言いだしたから本当は音央一人に任せるつもりだったが、一之江に追い出された。
一之江は何か考えがあるらしく、俺と音央の2人で面倒をみることになった。

「モンジー、モンジー!」

「こらっ、タッくん! 俺のことはハヤテお兄さんと呼びなさい!」

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