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Holly Night
第2章
―――3―
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か。然しエリコは其れしか云わない。
課長も木島も信じなかったが、拓也だけが其の言葉を信じた。

赤ちゃんポスト…、現に其れが存在する。施設の前や教会、寺とかに捨てられてる赤ん坊も居る。何年か前にもあったろ、病院の前に赤ん坊が置かれてた事件。子供置き去りにして消える親なんてゴマンと居る。此奴は其れにされたんだよ。ある意味此奴も被害者だ。

だろう?と拓也が云うと、エリコは項垂れ、御免なさいと呟いた。

――けど、何であんな事させた。
――私は、反対したの…
――真由美だけ被害が無かった、詰まりそういう事で良いんだな?
――そう…、サトシが全部手配したの…、仲間内で児童ポルノ作るって…、金になるからって…、マンション、調べて…、映像があるから…

撮影されたビデオを見た事があるのか、エリコは顔を覆うと叫び声に似た泣き声を出した。
四人の赤ん坊は町田の仲間内の子供である事、大きくて生後半年、一番小さい子で生後二週間、全て虐待で死んだ、其れを自分が埋めた。
あの家に寄り付かなかったのはあの少女達を見ると自分のした過ちがどれ程大きいのか痛感するから、亜由美だけでも父親の元に返したかったが、妊娠している事に気付き如何しようもなくなった。
佐賀の家を出る時亜由美を連れて出たのは町田が望んだから、町田の気に入りは他でも無い亜由美、半年前に別れを告げられ、だったら亜由美と真由美を連れて行くと云ったら殺されそうになった、だから一ヶ月前亜由美達をあの家に残し、故意にローンを払わなくなった。そうすれば管理会社が見付けてくれるだろうと思った。
余りの勝手な言い分に拓也と課長は開口した。

御免なさい、本当に、御免なさい…、あの子達を見付けてくれて、有難う…

其れ切りエリコは言葉を発せず、取調室から出されると、廊下の長椅子に座る亜由美をじっと見た。其の横に如月が居り、如月は黙ってエリコの頬を叩いた。
エリコは一瞬睨んだが、何も云わず、亜由美に触れる事もせず係官に連れて行かれた。
其処から町田の取り調べが引き続いたのだが、課長と拓也の怒り様に此処は割愛させて頂こう。
容疑を認めた町田を連行する係官が一言、自白の強要でもしたんですか?と云った具合だという事だけお伝えしよう。
其の後マンションから押収したビデオを木島が確認したのだが、此れを裁判で流すのか…、大問題になるぞ、判事と検事、弁護士が一番可哀想…と顔色悪く答えた。
エリコが持っていた六人の少女達の親の番号は当然繋がらず、其の番号を女に渡すと、早く出せよ、とワインを飲んだ。
「連絡寄越さんかったのは御前だ。」
「一番手っ取り早い情報入手したら連絡入れるのが礼儀だろうが!ま、此れで三日ありゃ充分だね。」
グラスをテーブルに置いた女は、今更親を見付けて如何するんだ?と帰り際聞いた。
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