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Holly Night
第2章
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也達は涙が滲んだ。
四人の男子に群がられるヘンリーを見た課長は鼻で笑い、小さいと子供からも舐められて可哀想だな、と真由美の髪を撫でた。
何時付けたのか、栗色の細い髪に真っ赤なリボンが付けられている。何度も撫でる所為か、十分前に見た時より髪が光っている。
「も!?も、ってなんだい!」
「俺からは漏れなく馬鹿にされてる。」
「腹立つ此奴ー!」
入口で出会した時、一寸タイプかも、等と思った自分をヘンリーは呪った。
「御前、本当に北欧系ブリティッシュなのか?」
ヘンリーは、母親がノルウェー人で父親がイギリス人である。
「そうだよ!此の髪と!肌は!如何考えたって北欧系だろう!母さんそっくりだ!目はブリティッシュだよ!此の緑の目は、イングランドの象徴だよ!此れは父さんに似たんだよ。ふふん、羨ましいだろう。は!」
「チビもイングランドだな。」
「ふぐ…!」
「良かった、俺、デンマークで。」
実は課長、日本のエイスである。
父親がデンマーク人、母親がロシア(祖父)と日本(祖母)なのだが、祖母が祖母で中国と日本と、日本の血が入っているのが奇跡に近い。
あんたって詰まり何人なんだ?と聞かれると、日本人、と平気で云う。何を根拠に日本人と言い切れるのか最早不明だ。国籍と名前だろうか。
だのに何故か、デンマークの血筋を自慢する。だったらもうデンマーク人名乗ってろよ、と世間は思う。
因みに父親の故郷デンマークに行くと、君ロシア系だね、と馬鹿にされるので、課長の顔にアジア要素は皆無と云って良い。
勝ち誇った課長の顔にヘンリーは奇声を発し、背中に子供が乗って居るのも忘れ何度も額を床に叩き付けた。
「イングランド馬鹿にするな、イングランド馬鹿にするな!誉れ高き女王陛下馬鹿にするなぁ!」
「イングランドは馬鹿にしてない、御前を、馬鹿にしてるんだ。顔が似た種族の結合だから、ぶっさいくな顔してるんだろ、御前。」
「不細工じゃない、俺は不細工じゃなぁあい!」
ヘンリーが興奮する度拓也の腹筋は限界に近付き、I'm not plain!で天井に向かって笑い出した。拓也が此処迄笑うのを初めて見た柳生は、英語が判らない自分を恨んだ。聞いていた本郷も、元モデルのヘンリーに此れは酷い、と、然し膝に手を置いて迄笑った。
二十代をからかう四十代とは情けない、と皆思ったが、勝手に興奮しているのはヘンリーで、興奮するから課長の加虐心が燃えるのだ。気にしてるんだから云わないで、としおらしく云えば課長の戦意は失せ、唯単に“詰まらん人間”と部類され、二度と話し掛けては来ない。
拳で殴られたらバットで殴り返して来るようなタイプが課長は好きなのだ。
なので、拓也と本郷、加納では全く話にならず、木島やヘンリーみたいなタイプが相手していて楽しいから好きなである。
「御前、課長に気に
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