第3章
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おり、一層姿は洗練された。学期全てに於いてゆりかは学級委員をし、二年時から生徒会役員となり、三年時には副会長になった。
教諭からの信頼、生徒からの羨望は、才色兼備のゆりかには容易く掴めた。高校も推薦で共学の進学校に進み、高校大学と私立のまどかに対し、公立国公立とゆりかは何方も推薦で入学した。
何故か。
父親が自分と同じ道を望んだから。
まどかは完全に、頭の悪さから見限られており、ゆりかの一日は勉強で終わった。
父親の期待を一身に背負い、遊び回るまどかを羨望したが、如何せ自分には放課後休日と遊ぶ相手も居ないので関係無い話だと、ゆりかの意識は机に向いた。
まどかは如何せ私立しか行けんのだから、ゆりかだけは見合った学歴を付けろ、と父親の口癖だった。
進学校の勉強内容は並大抵では無かった。一年時に三年の内容をするのは当たり前で、確かに頭は良かったが推薦で入ったゆりかにはきつい事だった。けれど、此処で挫折すれば、母親だけでは無く父親からも失望される。
母親が愛しているのはまどか、其れは幼少時代からはっきり判っていた。
喘息の発作が出る度母親の溜息を聞き、予定を取り止める電話の声を聞いていた。
まどかが、ゆりかの拠り所だった。
嫌な顔一つせずゆりかの世話をする、其の姿は救いだった。
マザーテレサみたい。
ゆりかは何時もそう思っていた。
母親の愛情がまどかに向く程、ゆりかは父親の言葉を求めた、自分を見てくれるまどかを求めた。
中学時代の髪型も、実はまどかが決めた。
僕が短髪だからゆりかは伸ばして二つ結びにしなよ、絶対似合うから。
だから、髪を伸ばし、耳の上で二つに束ねた。
病弱で、発作を恐れるゆりかに、自分で何かを決める、と云う意識は無かった。幼少時代遊びたくても、発作が出たら如何しようと云う気持ちが先走り、幼少時代遊びに行くにも母親の許可が要った。あそこのお母さんはゆりかが喘息持ちなの知ってるから大丈夫よ、と云う言葉で友達を選んだ。
男女無差別に友達を作れたまどか、一方でゆりかは母親の選んだ相手と友達になった。
条件は、家が綺麗で大人しく室内遊びをする“女の子”。
本当はまどかと一緒に走り回りたいが、発作を恐れ、厳選された好きでもない友達と好きでもない人形遊びや塗り絵をした。
将来は弁護士、と幼少時代から父親に教育され、然しまどかはものの五分で勉強放り出し、ゆりかは黙って知性教育を受けた。
やっぱりな、小さい頃からきちんと勉強してたゆりかは利発だろう。
小学校時代、夜中二人のテスト成績を見る両親の会話を偶々聞いたゆりかは、パパの言う事を聞いていれば正しいんだ、と認識し始めた。
父親の助言を聞けば聞く程、ゆりかの人生はまどかと大きく変わり、父親から盲愛された。
休日も、まどかと母親は人の多い場所に買い物に出掛けたが、ゆり
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