第3章
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なかった。強姦被害に遭った者への仕打ちを父親は良く知っていた。辛いだろうが我慢してくれ、そう吐き捨てた。
然し実際は違った、父親の元に、絶対に許さない、御前に報復出来ないのなら御前の周りにする迄だ、と脅迫状が届いていた。
――そんな貴方…、暢気な…
――まどかを好色の目に晒したいのか…
――…行貞!貴方其れでも父親なの!?
――黙れ!俺が、俺が傷付いて無いとでも思てんのか!?
――肉体的にも精神的にも一番傷付いたのはまどかよ…?貴方が傷付いてる?…笑わせんといて…!行貞は保身しか考えてないやないの!ほんまにまどかんコト愛してんなら、警察に届けるでしょうが!誰の、誰の所為でこうなった!?云いなさいよ、言えるもんなら言うて御覧なさいよ!言えんでしょうが!貴方が、貴方がまどかをレイプしたんも………っ……!
まどかの気配に母親は言葉を飲み込み、父親は目を逸らした。
続きの言葉を聞く気にもなれなかった。
愉快犯だったら良かったのに。
そう思ったがまどかは何も云わなかった、そう、父親への憎しみを飲み込んだ。
妊婦しなかったのは運が良かった。被害に遭った時まどかは生理期間中で、加えて犯人も膣外に射精していた。翌月来た時は嬉しさで泣いた。母親も安堵から放心した。
事件からまどかは明るく振舞った、一層。そうする事で忘れ様と。
幼馴染みは当然、そんなまどかを痛々しく思ったが、心配すれば内輪に其れが露見する、家は正反対だったが、幸い彼は部活動をしていなかったので毎日一緒に登下校した。
そんな状態が半年続くと流石に内輪でも、御前等付き合ってんの?という疑問を持たれた。違う、とは云ったもの、中学二年にもなると男女の体格差は如実に判り、幼馴染みは云った、もう付き合ってる事にしよう、と。
幾らまどかが男勝りだろうが女には変わりない、体格差は無い時は何とも思わなくとも、身体が成長すれば心も成長する、何時まどかを女と意識した生徒から言い寄られるか。此れがとんでもない醜女だったら心配なかったが、生憎まどかは見目良い。なんせゆりかと一卵性なのだから。背が高い分全体的に細っそりとし、幼馴染みから見ても、まどかが女である事がはっきり判り始めていた。其れに、妙に色気も出て来た。
――良いけど、御前、持てなくなるぞ。
――俺は良いんだよ、別に。興味ねぇし。つーか持てませんけど。
――御前が良いなら、良いよ。
――じゃ決まりな。
中学二年の初夏、事件から七ヶ月後の話だった。ゆりかの喘息が安定した時期でもあった。
彼のナイトっぷりは学年からも面白がられ、三年になると、一番憧れるカップル、と下級生達から羨望された。終いには体格や見た目から“番犬”と呼ばれ、まどかが、三回回ってワン!と云うと彼は指示通りに動いた。
二人の関係は卒業迄続き、まどかは女子校
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